Dさんのインフォメーションコーナー
        パソコン購入時の6点入力機能確認について
                        ネットワークだより31号(2003年3月発行)掲載             
                                                                                      Q:貴方  D:増本

Q:最近は録音テープや点訳図書の利用者から、「パソコンを始めたいのですがどんなパソコンを購入したら良いのでしょうか」などといった相談を時々受けるようにな りました。そこで今日は視覚障害者(以後、視障者と略す)が、パソコンを購入する場合に留意しなければならない事柄について教えていただきたいと思います。
D:視障者がパソコンを購入しようとした時にまず問題となるのが、点字入力機能を使うかどうかということですので、今回はその点にしぼってお話しましょう。
Q:よろしくお願いします。
D:では、まず6点入力機能とは何かを説明します。これはキーボード上の特定の6つのキーを点字の1の点から6の点に割り当てるものです。
Q:そのキーを使うことで点字が書けるということでしょうか。
D:6つのキーで点字を書くわけですが、画面にはそれに対応した普通の文字が書かれます。つまり点字入力で普通の文字が書けるということです。
Q:晴眼者の文字入力方式には「フルキー入力」や「ローマ字入力」がありますが、視障者にはそれに加えて6点入力方式があると思えば良いでしょうか。
D:その通りです。でも6点入力方式には「フルキー入力」や「ローマ時入力方式」に見られない便利な使い方があるのです。
Q:文字を書くだけではないのでしょうか。
D:6点のキーにスペースキーや無変換キーなどのキーを組み合わせることで、センタリングや右よせ、左よせ、あるいはコピー、張り付け、検索、印刷などといったいろいろな機能を直接実行できるようになるのです。
Q:それは便利な機能ですね。
D:6点入力機能を使えば少ないキー操作で様々なコマンドが実行できるため、遠くのキーまで指を伸ばすことも少なくなりますので、キーの押し間違いも減ることになります。これは初心者にとっては大変有難い機能です。
Q:ところで6つのキーは特定のキーということですが、具体的にはどのキーを使うのでしょうか。
D:基本的にはF、D、SキーとJ、K、Lキーを6つの点に割り当てるパーキンス方式という方法を使います。ただしソフトによっては他のキーに割り当てたり、「カニ(ライトブレイラー)入力方式」に対応したりしているものもあります。
Q:FDSがそれぞれ1、2、3の点、JKLが4、5、6の点ということですね。
D:そうです。つまりこの6つのキーで文字入力をし、それに若干のキーを同時に押すことで、前述したような文書編集機能などのコマンドを実行できるようになるのです。
Q:だから視障者の方から6点入力のできるパソコンが話題になるわけですね。
D:ところが最近は6点入力機能の可能なパソコンが大変少なくなってきました。そこで6点入力を使いたいという希望があった場合は、パソコンを購入する際にその確認をする必要が出てきます。
Q:確認の方法とはどういうものでしょうか。
D:まずWindowsを起動してください。次にワードやメモ帳、ワードパッドなどの文字入力ができるソフトを立ち上げます。文字入力画面になったらF、D、S、J、K、Lの6つのキーを同時に1回押してください。
Q:つまり点字の「メ」を書くわけですね。
D:そうです。そして画面を見てください。FDSJKLの各文字が全て1文字ずつ表示されていれば、第1段階のチェックはクリアです。この場合の文字の順番は気にする必要はありません。次は同じ方法で今度は6回連打してください。
Q:6点同時に6回連打、つまり「メ」を6回打つわけですね。
D:この操作で画面にFDSJKLの各文字が6回づつ、つまり計36文字表示されていれば第2チェックもOKです。こちらも表示されている文字の順番は関係ありません。この2つのチェックがクリアできれば、パーキンス方式による文字入力はまず大丈夫ということになります。
Q:文書編集などの操作は駄目なんでしょうか。
D:その機能が使えるかどうかのチェックがもう一つの確認です。それは7点入力のチェックです。
Q:7点とは聞き慣れない言葉ですが。
D:これが前述の6点+スペースキーなどの機能が使えるかを確認する方法です。チェックの仕方は先程の6つのキーにスペースキーを加えた、7つのキーを同時に3回押す方法です。画面にFDSJKLの計18文字に交じって、スペースが含まれていればクリアです。ただし最後にスペースが入力されている場合はスペースが2つしか見えませんが。
Q:この3つのチェックをクリアすれば、点字入力機能はほぼ問題ないということですね。
D:ただしこのチェック方法はソフトメーカーでは保証外ですので、絶対大丈夫というものではないようです。でも我々が今までこの方法で確認してきたもののなかで、外れたものはありませんでした。ただしこの確認をした後で、そのパソコンを購入するとなった場合には、一つ心得ておかなければならないことがあります。
Q:3つのチェックだけでは不十分なんでしょうか。
D:実は点字入力機能の可否はパソコン本体によるものではなく、付属しているキーボードによるのです。そこで店頭で6点を確認したらOKだったということで同機種の在庫を購入したとしましょう。喜んで家に帰り梱包を開いて再度チェックしたら、6点入力がうまくゆかなかったということがあるのです。
Q:それはどうしてでしょうか。
D:つまり同じ機種であっても、製造時期が異なると使えないことがあるということです。
Q:同じ機種でも駄目なんでしょうか。
D:外見上は同じであっても、製造時期が違うとキーボードの使用部品が異なることがあるため、同機種でも使えないことがあるのです。したがって購入する際には次のようなことを念頭においておくことが必要です。
Q:それはどんなことでしょうか。
D:つまり購入したら6点機能が使えなかったという時は、6点機能が使えるキーボードに交換しなければならないということです。ノートパソコンの場合は交換ができませんので、6点入力可能なキーボードを外付けして使うということになります。
Q:つまりパソコンを購入した後で、6点入力可能なキーボードを再度購入することがでてくるということですね。
D:そういうことです。
Q:交換や接続は簡単にできますか。
D:デスクトップ型の場合は、最初に付属しているキーボードと差しかえるだけです。ノートパソコンの場合は、新たに購入したキーボードを所定の端子に差し込むだけです。
Q:交換や外付けのキーボードを購入する場合のチェックはどうしたら良いでしょうか。
D:チェックの仕方は前述した方法と全く同じです。PC−Talker(ktos)や95Readerなど、6点入力機能を持つソフトがインストールされているノートパソコンをパソコンショップに持ち込んで、これにキーボードを接続して確認するのが最も良い方法です。
Q:キーボードを接続する方法には、2つの方法があるとか聞いていますが。
D:それはPS2方式とUSB方式です。
Q:どちらの方式でも構わないのでしょうか。
D:PC−Talker系はPS2のみ、また95Reader系はどちらにも対応しています。パソコンに慣れてくると両方のソフトをインストールすることも良くありますので、後々のことを考えるとPS2接続のものを選択するのが良いでしょう。価格もPS2方式の方が安いです。
Q:PS2のキーボードはどのパソコンにも接続できますか
D:最近のパソコンにはPS2端子の無いもの(特にノートパソコンなど)のものが増えていますので、購入時にはしっかり確認しておくことが必要です。
Q:キーボードだけというのは、いくらぐらいするものなのでしょうか。
D:安いものなら1000円以下でも売っています。点字入力の可否は価格とは全く関係ありません。1000円以下のものでも十分使えるものがありますので探してみると良いでしょう。
Q:今日は有難うございました。
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