パソコン点訳 Q&A その2 (94年2月)

  Q→あなたです。D→増本

Q 今回は点字プリンターについてお聞きする予定でしたが、静岡産業技術専門学校

の活動が、新聞やテレビで報道されていましたので、予定をかえて、今日はそのこと

をお伺いすることにします。

D いや参りました。あんなにアップに写るとはね。とにかく内気ですので、インタ

ビューのときは汗タラタラでした。

Q Dさんのことはどうでもいいんです。専門学校のことを教えて下さい。関わりは

いつからですか。

D きっかけとなったのは、昨年8月の第1回アイボラ研修会への内山泰伸先生の参

加です。内山先生は浜松情報専門学校に勤務しておられ、研修会開催の記事を新聞で

読み、何か協力できるのではと参加してくださったのです。私の勤め先が静岡だとお

話すると、「それでは静岡の校長に話をしましょう」と平井校長先生に紹介していた

だいたのです。(実は内山先生の学校と静岡産業技術専門学校は同じ”学校法人静岡

理工科大学”のグループなのです。)

Q それで早速平井校長先生に会いに出かけたわけですね。

D ところが、ところが、何と直ぐ平井先生自ら私に電話をくださったのです。とこ

ろが、またまた、ところがです。

Q 何ですか。

D 平井校長先生から私に電話をいただいた時は、いつも授業中だったり、出張中だ

ったりで、なかなか連絡がとれなかったのです。こちらから先生にお電話して初めて

お話できるまでに、先生はなんと8回も私に電話していただいていたのです。この回

数を聞いたとき「なんて情熱家なんだろう」 「私みたいな者に8回も電話下さるな

んて」と感激してしまいました。

Q 感激! 

D こうして初めてお会いした平井先生は大変素敵な方でした。そんな先生に対し、

嬉しさのあまり、点字本やパソコン専門書の現状、ネットワークへの思いなどを一気

に話しました。先生のお話もほとんど伺わずにですよ。一方的な私の話にもかかわら

ず、心優しい先生は、「分かりました。協力できるところから徐々にやっていきまし

ょう」と温かいご返事、またもや感激でした。  (私と初めて会うまでに、パソコ

ン通信で既にかなりの資料を手に入れていたのにもビックリしました。)

Q そうして点訳活動が始まったわけですね。

D そうです。点訳ソフトはBASEを使ってもらうことにしました。校長先生は「

眼にやさしいフロッピーづくり」を提案し、山崎先生という方が中心になって生徒の

活動が本格的にスタートしました。

 点訳するものは、平井先生などが書かれたパソコン専門書。最近、視覚障害者にも

パソコン使用者が増えてきており、この分野のニーズも高くなってきていますからね。

Q 生徒の皆さんは点字をどうして覚えたのですか。

D そうそう、その話をしないといけませんね。専門学校の方では私にネットワーク

の活動や点字の話をする時間をわざわざとっていただいたので、そこで簡単に生徒の

皆さんに点字について説明しました。でも、その内容は、50音の書き方と助詞の後

ろは空ける・できるだけ言葉の間は空ける、これだけです。

Q BASEはカナで入力できるものね。

D そうなんです。とにかく、カナで打ち込み、意味の通る範囲で最大にマスあけす

るよう話しました。こうして、出来上がった第1作を見てビックリ、ほとんど上手に

書けているのです。また、点字プリンターでプリントアウトすると、生徒さん達はナ

ントそれを読むじゃありませんか。いやあ参りました。若いって素晴らしい!

 点字を知らなくてもカナで入力し、画面でカナと点字を比べながら点字を覚える。

邪道かもしれませんが、これも一つの点字学習方法だと確信しました。「テ」は1、

2、3、4、5の点。数符は・・・・、などと覚えるより、形が分かればいいわけで

すからね。パソコンを使えばそれが簡単にできるのです。たとえ打ち間違えたとして

も訂正も至極簡単、楽しみながら点字が覚えられますからね。

Q とにかく点字の読み書きができるボランティアが増えてくれればいいですものね。

D 点字を知らない人が点訳をする? 反論もありますが、既成概念に捉われず発想

を変えていくことが、若いボランティアの育成につながるのではないでしょうか。

Q そうですね。ところで、出来上がった第1作の目次を紹介して下さい。

D わかりました。では、ご紹介いたしましょう。

書名  コンピュータって何

     第1部 情報はどう表されるか  

     第2部 コンピュータはどうして生まれた

    第3部 コンピュータはどう動くか

     第4部 コンピュータの頭脳のしくみ

     第5部 コンピュータって何

     第6部 コンピュータの記憶って何

    第7部 人間とコンピュータの理解の仕方

 これは平井先生の著作物です。今回の点訳で注目すべきことが一つあります。それ

は、パソコン関係の書物にはとかく図表が多いのですが、それを文章表現に書きかえ

視覚障害者に理解しやすくしていることです。もちろん著作権は平井先生ですから、

その加工は自由自在。いうなれば視覚障害者向けの書き下ろしといってもいいでしょ

うね。

Q それは素晴らしい。それで、読みたい人はどうしたらいいのですか。

D ネットワークの事務局を通じて私まで申し込んで下さい。

Q フロッピーでも点字本でも、どちらでもいいですか。

D もちろんいいですよ。また、パソコン関係のどんなものが読みたいかも 聞かせ

ていただけるといいですね。

Q じゃあ ここで今回の点訳に携わった生徒の皆さんのお名前を紹介していただけ

ますか。

D 今回のスタッフは山崎先生を指導者に生徒14名です。

           OAビジネス科 コンピュータ点訳グループ   

1、和泉 伸代 2、稲垣 公美 3、大塚 陽子 4、小野 訓代

5、木俣千珠子  6、佐藤 隆広  7、杉山 信一  8、杉山由美子

  9、竹田 真純  10、立川 深雪  11、波木井直子  12、増田 友美

13、望月 麻紀  14、渡辺 賀央

 なお山崎先生は今回のパソコン点訳講習会では講義もしていただけることになって

います。

Q 私も出かけますので、お会いするのが楽しみです。専門学校の生徒さん達に負け

ないよう私も頑張ろう。


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