パソコン点訳あれこれ  その1(94年10月)

Qさん→貴方 Dさん→増本

Q:第2回パソコン点訳講習会ご苦労さまでした。

D:私はただしゃべるだけですし、又しゃべることが本業ですので、それほどは疲 

れませんでした。でもサポートの皆さんはさぞ疲れたことと思います。

Q:そうでしょうね。パソコンが思うように扱えない受講者も多かったでしょうか 

ら。

D:その通りです。サポーターの皆さんは、受講生の「助けて!」の声や、入力し 

ている画面がおかしくなっていないか等を気にしながら、1日中アチコチと走り回

っていましたからね。

Q:第1回の時よりサポートの方は大分多かったようですね。

D:前回は40人近くの受講生をわずか数人で指導したため、皆さんのヘルプニー 

ズに十分応えることができませんでした。そこで、今回はその反省を生かして、一

人のサポーターが5、6人の受講生だけをみるようにしました。顔ぶれはレギュラ

ーの、掛川の鈴木江美子さんや袋井の鈴木あさ子さんをはじめ、今回よりフルサポ

ーターとなった市川(掛川)、竹原(袋井)、斎藤(清水)、寺田(事務局)の4

氏、そして、今回特に助かったのは「かたりべの会」の全面的協力と、コンピュー

タ専門家の藤井氏(本会システム部長)の仕事そっちのけの応援でした。かたりべ

の皆さんには、サポートの分野以外に資料のセットや配付、また、昼食会場の準備

やゴミの処理などと見えない部分でもいろいろとバックアップしていただきました

更に言うなら、このスタッフの皆さんが委員会の台所事情をよく理解し、全員が

全くのボランティアとして4日間協力していただいたことです。本当に皆さん有

難うございました。この場をお借りしあらためてお礼申しあげる次第です。

Q:ところで、この講習会の様子やネットワークづくりの活動などについては、テレ

ビや新聞に何度か報道されていましたが、何か反応はありましたか?

D:やはり、マスコミの力はすごいですね。報道直後は電話が鳴りっぱなしで、事務

局は外出もできないほど・・・とまではいきませんでしたが、県内各地よりかなり

の数の電話が入ってきました。

Q:それは大変でしたね。いい話もありましたか。

D:みな、いい電話ばかりでしたよ。なかでもパソコンの提供者が現れたことは本当

にうれしかったと思います。

Q:どんな機種が寄贈されたのですか。

D:具体的にはNECのPC9801RXが1セット、それに富士通のFMR60 

HX2がなんと11セットです。その他にも日立のB16EXなどの寄贈申し込み

が現在入っています。ただ、この日立の機種については、ソフト面や使い勝手の部

分で若干問題がありますので、受入れについては、もう少し検討した上で決 定の予

定です。ただ、こちらの寄贈は台数がかなり多いため、私としては何とか使い道を

考えたいと思っています。

Q:これからも寄贈者がたくさん現れるといいですね。

D:パソコン点訳講習会に集まってくる方は、ほとんどが主婦です。せっかくソフト

の操作を習得しても、手元にパソコンが無いため、即実践に移れない方も多いので

す。かといって家庭の主婦が点訳活動のために、20万円近くもするパソコンをそう

簡単に購入するという訳にもいきませんね。

Q:そうなんです。そこがパソコン点訳普及の一つのネックになっているようにも思

いますが。

D:そこで今回マスコミの力をお借りしてパソコンの寄贈者を募ったわけです。でも

、思ったほど提供者は出ませんでした。個人の方ではたとえ使っていないとしても、

購入時にかなりの投資をしたわけですので、なかなか手放せないのかもしれません

よね。私としては企業からの電話を期待していたのですが・・・。ちょっと残念でし

た。

Q:今後も私たちの活動を各方面にPRしていく必要がありますね。

D:その通りです。実は今回の富士通パソコンの寄贈も、私どもの委員である静岡の

島村さんが、ある集まりの会場で我々の活動を紹介したのがキッカケとなり、某社

より彼への大量パソコン寄贈が決定したという事例なのです。是非皆さんも機会あ

る毎にPRし、協力をお願いしていってほしいと思います。

Q:NECはどなたからですか?

D:こちらは新聞を見て電話があったのですが、静岡にお住まいの金井宗昭さんとい

う個人(現在、県民生委員)の方からの寄贈です。機種はやや古いのですが、ほとん

ど使っていなかったため品質程度は極上品です。金井さんについては、発会式の席上

で感謝状を贈呈したいと考えています。

Q:そうですよね。金井様が、神様仏様に見えてきますね。そうそう、それから財政

面での協力者は現れたんですか。

D:それが、さっぱりで、全くのゼロ!。バブルがはじけて、景気低迷の今、お金を

出すところはなかなか無いのも当然かもしれませんね。推進委員会は今まで、その

経費のほとんどをボランティアの寄付でまかなってきました。しかし、このいわゆ

る自前の財布を頼りにするのには限界があると思いますし、また筋が違うようにも

思います。基本的には、技術ボランティアの活動と、財政援助は別だと思います。

もちろん両方やっていただくに越したことはありませんが、「ねばならない」とい

う論理は有りません。むしろ、儲かっている企業などに働きかけ世の中への還元の

一つとして社会貢献をお願いしたいのです。

Q:私も同感です。もっともっとPR活動を充実させていきたいですね。

D:みんなで頑張りましょう。

Q:あらあら、今日は活動の話ばかりで大分時間が過ぎてしまいましたね。残り時 

間もあまりありませんが、ここで終ってはこのコーナーを楽しみにしている皆さん

に申し訳ありませんので、話題を本論に戻して少しお聞きします。よくパソコン点

訳の校正をしている方から、点字の校正には音声装置を使っていると聞きますが、

これは一体何なのでしょうか。

D:はい、これはパソコンに音声装置を接続し、点訳内容を音声で聞くものです。 

こうすることにより、校正作業は、原文だけを見ていればよいことになりますの

で、作業も大変楽になるわけです。

Q:ということは、利用者もその装置があれば点字に打ち出さなくても内容が読める

ということですか。

D:そういうことです。データ(内容)によっては、むしろフロッピーの方が、便利

なこともあります。

Q:音声装置にはどんなものがあるのでしょうか?

D:パソコンにしゃべらせるためには2つの方法があります。1つはパソコン本体に

あるスピーカーを使う方法、もう一つは外部に音声装置を取り付ける方法です。

Q:一般的にはどちらを使っていますか。

D:内臓スピーカーを鳴らすソフトもありますが、音楽ソフトやゲームソフト以外は

ほとんどのものが外付けの音声装置を使っています。

Q:では点訳の校正などに使える音声装置として、具体的にどんなものがありますか。

D:国産品で現在およそ10種類程度のものが販売されていますが、価格や、大きさ、

音声の明瞭度などいくつかの要素を考え、人気があるのが富士通のFMVS101(

通称VSUと呼ばれている)といわれるものです(利用者、ボランティアの両方にユ

ーザーがかなりいます)。もちろんパソコン点訳講習会で使っているBASEも問題

なく使えます。

Q:値段は?

D:値段は7万円程度ですが、5万数千円くらいで購入できると思いますよ。

Q:接続は簡単ですか。

D:非常に簡単です。普通のプリンタケーブルをパソコンと音声装置に差し込むだけで

セット完了です。

Q:簡単ですね。

D:後はソフト側で音声装置を指定すればよいのです。例えばBASEなら環境設定

のなかで音声装置をVSUに指定し設定すればいいのです。これで、次からは、編

集や校正の際に声を聞きながらできるようになります。

Q:音声が邪魔なときはどうしますか?

D:音声のオン、オフもキーを一度押すだけで可能ですので、必要に応じ切り換えて使

えばいいのです。

Q:では最後に、参考までにBASEのソフトで使える他の音声合成装置も紹介して下

さい。

D:そうですね、次に比較的良いのが三洋電機製のVSS300でしょう。これは音声

合成装置のなかでは低価格に位置するもので59800円です。サイズはV SUより

はやや大きめです。一時かなり人気がありましたが、今はVSUに押さ れているのが

現状です。この他、音次郎、しゃべりん坊、YL−V40などがあ ります。また、A

OK点字ワープロがある場合は、これを使うこともできます。

Q:どうも今日はいろいろと有難うございました。また次回もよろしくお願いします。



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