デジタル録音Q&A (96年2月)

                       Q:貴方 D:増本

 Q:明けましてお目出とうございます。今年もよろしくお願いいたします。

 D:こちらこそよろしくお願いします。

 Q:ところで、最近私の友人がMDとやらを購入し、会議のメモ用として使ったり

、通勤時や家では音楽も聞いたりしているようです。今日はまずこのMDについて教

えて下さい。

 D:MDとはMini Discの略で日本のソニーがCDの技術を生かして作った次世代

の音響機器です。形状は直径64mmのディスクを四角なケースに入れた形です。このデ

ィスクは音楽用のシングルCDより16mm小さいもので、全体の形状は3.5インチのフロッ

ピーディスクを小さくした形と思えばよいでしょう。

 Q:CDとどこが違うのですか。

 D:簡単に言えばCDは再生専用、MDは録音と再生の両方が可能ということです。

 Q:ではカセットテープと同じですね。レコードとカセットテープの違いに似てい

ますね。

 D:なるほど。しかしCDもMDも録音方法はレコードやカセットテープとは全く

異なるものです。

 Q:というと?

 D:カセットテープやレコードはアナログ方式を用いていますが、CDやMDでは

デジタル方式を用いています。

 Q:そろそろ難しくなってきましたね。アナログとは何ですか?

 D:アナログとは連続的に変化するもののことで、例えば、海の波には山と谷があ

りますが、この変化は連続した形をしていますね。ですからアナログということにな

ります。人間の声も一つの波です。もちろん形は非常に複雑ですが。

 Q:でもアナログなんですね。

 D:そうです。ところがデジタルとは1つ、2つと数えられるようなものをいい

ます。つまり従来のカセットテープは連続的に変化する音をそのまま録音するのです

が、CDやMDでは、この連続した音の変化を非常に細かくカットしてしまいます。

そして、カットした1コ、1コの音のデータについて、「有るか、無いか」(1かゼ

ロか)という信号に変えて録音するのです。

 Q:連続した音の変化が不連続の切れぎれの音になるわけですか。

 D:その通りです。こうした録音方式をデジタル録音といいます。数年前から売り

出されているDAT(ディジタルオーディオテープ)は、この方式によるカセットテ

ープです。

 Q:コンピュータも1と0の信号のやりとりでしたね。

 D:そうです。ですからCDやMD、DATなどの録音方式はコンピュータの記憶

方式と同じものということになります。

 Q:現在のMDの主な利点は何ですか?

 D:第1に録音箇所の検索が容易にできるということです。カセットテープだと目

的のところを探すのに苦労することがありますがMDでは簡単に目的の場所をサーチ

することができます。

 Q:そういえば、CDも頭出しがすぐできますものね。第2は何でしょう?

 D:次に挙げるとすれば録音内容の変更、つまり挿入や削除が容易にできる点でし

ょう。現在市販されているMDも曲をつなげたり入れ替えたりが自由にできるように

なっています。

 Q:この2点は録音図書の製作や利用にあたっても大きなメリットですね。

 D:近い将来すべての録音がデジタル方式に変わることは間違いないと思います。

 Q:カセットテープもかつてのレコードと同じ運命をたどることになりますね。

 D:それも、そんなに遠いことではないでしょう。

 Q:録音ボランティアにとっては一大事ですね。

 D:前にもネットワークだよりに書かせていただきましたが、今からそのことを考

えていく必要が十分あるのです。

 Q:今までに録音したカセットテープは一体どうなるんでしょう。時間がなくなっ

てきました。ここで今後のことについて少しお聞かせ下さい。

 D:音声がデジタル化されれば、データの圧縮が可能となり1枚のディスクに4、

50時間以上の録音データを収納することも可能になります。また、パソコン通信を

使って多くの地域に同時に、しかも非常に短い時間で大量の音声データを提供するこ

とも可能になります。(現在でもインターネット上には既に音声データが登録され取

り出すことも可能になっています。)

 Q:私の録音したものが海外の視覚障害者にも簡単に利用してもらえるようになる

ということですか。

 D:そうです。こうしたことから、視覚障害者の間から利点の多いデジタル録音図

書の1日も早い提供を望む声が強くなってきています。

 Q:じゃあ早速MDプレイヤーを購入しないといけないのですか?

 D:ちょっと待って下さい。現在、国際図書館連盟(IFLA)の障害者サーピス

部会では障害者用録音図書方式ともいえるデジタル録音データ形式の規格化を進めて

います。今年の8月に中国で開催されるIFLAの国際大会でデジタル録音図書の標

準データ形式が提案されることになっています。もし各国の同意が得られれば国際的

に統一したデータ形式でデジタル録音図書が作られることになると思います。

 Q:今年は視覚障害者の将来の読書環境を大きく左右する年になりそうですね。

 D:でも、もし1本化が図られなかったとなると各国、各図書館が独自のデータ形

式で録音することが予想され利用者にとっては大変使いにくくなってしまいます。

 Q:是非統一されることを望みたいですね。

 D:すでにスウェーデンのDAISYという会社では標準となると思われる形式に

よって実際に録音するためのパソコン用ソフトを開発しています。さらにこのソフト

を使って録音したものを再生するプレイヤーに日本の某CD−ROMドライブのメー

カーが着手しています。

 Q:もうそこまで進んでいるのですか。

 D:ですからMDの購入は今年1年の情勢を見てからにした方がいいと思います。

 Q:今日はどうも有難うございました。

 


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