デジタル化に向けて(その1)Q&A (98年3月)
Q:貴方 D:増本
Q:巻頭言にもありますが、デジタル図書読書器がいよいよ発売のようですね。
D:4月発売の予定です。価格は39800円です。この値段なら手ごろですから、
購入しやすいですね。
Q:読書器が発売されても、肝心のCD図書があまり無いですね。
D:確かにその通りです。せっかく売り出されても買う人が少ないと困りますね。売れ
行きが極めて悪ければ、メーカーだって考えてしまうでしょうね。そうなれば手を引か
ないとも限りません。
Q:そうなったら、せっかく世界の視覚障害者が待望していた読書器が誕生間もなく、
消えることになりますね。
D:絶対そんなことになってはいけません。そこで、本会では微力とはいえ、積極的に
この動きに取り組んできました。
Q:具体的にはどんな取り組みですか。
D:一昨年暮れからのフィールドテスト参加。9月のデジタル図書研修会開催。12月
東京での1泊研修会参加。デイジーインターネット利用の実験協力、そして、3グルー
プによるCD図書作成着手などです。
Q:3グループとはどこですか。
D:静岡のひびきの会、袋井の水の環の会、そして浜松のかたりべの会です。
Q:皆さんうまく作れていますか。
D:各グループ共マニュアル片手に奮闘中ですが、すでに南部ひびきの会の稲垣さんが
本県初のCD図書を作成しました。その後もいろいろなものをCD化すべく取り組んで
います。
Q:私たちも取り組みを開始しないといけないのでしょうか。
D:録音テープに収録された内容は日々劣化しているといっても過言ではありません。
貴重な録音物がノイズに埋もれ始めています。その上テープ自体の物理的経年変化も進
んでいるため、早くしないとデジタルへの変換がうまくできなくなってしまう恐れもあ
ります。
Q:今の人には、なかなか読めない難しい書物の録音テープなどは貴重ですからね。
D:そうです。それを将来にわたって安定した状態で利用するにはデジタル化しか選択
肢はありません。
Q:録音テープが無くなると、どこかでDさんが書いていましたが。
D:電気店のオーディオコーナーに行くと分かりますが、カセットに代わりMDが増え
てきています。今後この傾向は加速することは必至です。すでに、国内では録音テープ
は生産されていないようです。こうした状況下では、いつテープレコーダーが生産完了
になってもおかしくありません。
Q:昨年のNEC98パソコン撤退表明の例もありますしね。
D:そうそう、その事にも少し触れましょう。今までパソコン点訳については、本会で
はBASEというソフトを使ってきました。これはDOS環境でうまく動きます。
DOS/V用もありますが、点字入力ができません。
98が無くなることは大ショックです。NECはユーザーがある限り生産すると言っ
ていますが、パソコンショップなどでは、特に注文しない限り、98は仕入れないとい
う姿勢を示しています。すでに98パソコンは、店頭からほとんど姿を消しました
(撤退発表後まだ数ケ月ですよ)。
Q:その辺に関する情報や対応については、次回詳しく教えて下さい。何はともあれ、
カセットテープレコーダーが無くなるまでに対策をたてないといけないということです
が、デジタル化への手順を簡単に教えて下さい。
D:まずは機器の準備ですが、最低限必要なものはパソコンとCD−R、それに
DAISYプログラムとPLEXTALKです。資金に余裕があればMOも購入すると
良いでしょう。パソコンは98系ではなくDOS/V機にして下さい。有名メーカーと
しては富士通やIBMです。メインメモリーやCPU、HDDなど条件がありますが、
現行商品であれば殆ど問題ありません。
Q:CD図書作成でパソコンはどんな働きをするのですか。
D:音声をデジタル化し、それに検索のための各種マークを付加したり、圧縮したり
などをします。この作業をさせるプログラムがDAISYというものです。
Q:ではCD−Rとは何ですか。
D:これは圧縮した音声データをCDに書き込む装置です。
Q:経費はどのくらいでしょうか。
D:パソコンがデスクトップ型で20〜25万円程度、ノート型はやや高めになりま
す。CD−Rは5・6万円でしょう。DAISYは今のところ無料で配付しています。
有償にな っても1万円以下でしょう。
Q:PLEXTALKは購入しないといけませんか。
D:出来上がったCDを最終チェックするのに、どうしても必要になります。
言い忘れましたが、媒体であるCD(メディア)はもちろん絶対必要ですよ。
念のため。静岡市内で1枚300円程度です。
Q:機器が揃ったら次は何をしたら良いでしょう。
D:CD化する作業はそんなに簡単ではありませんので、研修を受ける必要があります
。研修場所としては、名古屋盲人情報文化センターや、プレクスター社が開催する研修
会などに参加するのが良いでしょう。情報文化センターでは定期的に講習会を開いて
いるようです。
Q:その内にEVN静岡でも講師が誕生するでしょうからね。
資金が無くて機器の購入の困難なところはどうしたら良いでしょう。
D:積極的に各種の助成金に応募するのもひとつでしょうね。もちろん地元の社協や
図書館への働きかけも忘れてはいけませんが。もし、どうしても購入できそうもない
ところは、さしあたって、貴重な録音内容をデジタル化して劣化を防止する方法として
、MDにコピーしておけば良いでしょう。
そうすれば安心です。実は日本点字図書館も平成10年度から蔵書のCD化が始まる
ようですが、当分はマザーとして利用するようです。実際の貸し出しは暫くカセットテ
ープになりそうとのことです。
Q:だって、まだ、PLEXTALKを持っている視覚障害者は一人もいないんですか
らね。当然の見解ですね。
また誌面が無くなりましたが、最後に普及の上での問題点があれば、お聞かせ下さい。
D:現段階での最大の問題はCDが再利用できないということです。ここが録音テープ
との大きな違いです。しかし、すでにCD−RW(再書き込みが自由)も市販されてお
り、じきに、CD−RW対応となると考えていますのであまり心配はしていません。
Q:最後の最後に関連先の電話番号を教えて下さい。
D:プレクスター社 Tel 03−3517−8061
インターネット http://www.plextor.co.jp/
名古屋盲人情報文化センター Tel052−654−4521
Q:有難うございました。
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