デジタル化に向けてQ&A(その3) (99年3月)

                          Q:貴方  D:増本

 Q:前号では、Dさんの多忙により本欄が休載となり残念でした。17号発行以後、CD化への動きはますます加速しているようですので、今回はそのへんの情報について、いくつかお聞きしたいと思います。

 D:本号の巻頭言でも書きましたが、国の予算措置による事業が追い風となって、CD図書関連の動きがスピードアップしてきました。

 Q:今回のこの事業と、EVN静岡との関係はどうなんですか。

 D:新年早々日本障害者リハビリテーション協会(事業の受託団体。以下日リハと略す)の関係者から電話が入りました。内容は静岡県でもこの事業に協力してほしいというものでした。

 Q:具体的内容は?

 D:まず、国の補正予算により作成するCD図書2500タイトルのうちの一部を受け持ってほしいというものです。そして、その製作のために、パソコンとCD−Rを2セット提供するとのことでした。更にこの2セットは、事業終了後も活用するのであれば長期無償貸付するとのことでした。

 Q:それは、すごく良い話ですね。それで、どんな対応をしたのですか。

 D:断れば2セットは他の県に回ってしまいます。ただ、この事業を受けるグループはどこでも良いというものではなく、日リハから指定を受ける形となりました。

 Q:どこのグループになったのですか。

 D:浜松の「かたりべの会」が8月中旬までに40タイトルを作成することで決定しました。かたりべの会は全国的にも知られており、是非「かたりべ」でと日リハからの強い希望がありました。そして、近日中に実践に向けての講習会も開かれる予定となっています。

 Q:ぜひ頑張っていただきたいですね。ところで、EVN静岡では昨年の秋、日本点字図書館(以下、日点と略す)の視察を行いましたが、その大きなネライは、デジタル化への取り組みについて情報を得ることだったと思いますが?

 D:カセットテープ蔵書数でもテープ利用者数でも全国最大の点字図書館としては、今後もテープによる提供を継続しなければなりません。そこで日点ではとりあえずMO(大きさは3.5インチのフロッピーディスクを何枚か重ねたぐらいですが、記憶容量はフロッピーディスクの数百倍もある大容量記憶媒体)に保存し、これを、必要に応じてアナログテープ(一般のカセットテープ)に変換コピーしたり、CDにコピーしたりして対応するとのことでした。

 Q:貸し出し時期はいつごろなのですか。

 D:前述したように、全国の各点字図書館にCD図書250タイトルが蔵書となるため、日点としても4月ごろからは貸し出しを始めざるをえないのではないかとのことでした。

 Q:近い将来、新しいCD図書作成機器が開発されるとの情報もあったようですが。

 D:1、2年の内に家庭でも手軽にCD図書が作成できるレコーダーが実用化されるようです。

 Q:それは朗報ですね。およそどんな物なのですか。

 D:大きさはおよそA4ぐらいになるようです。使い勝手は現在のテープレコーダーのようにボランティアやユーザーが手軽に使えるようなものにしたいとのことです。

 Q:価格が気になりますが。

 D:10万円程度を目標にしているようですので、個人でも何とか購入できる価格ですね。

 ただ、最近はパソコンでも物によっては10万円以下のものが店頭にならびだしていますので、手軽さを選ぶか、もっと利用範囲の多いパソコンを購入するかは意見の分かれるところだと思います。

 Q:パソコンであれば点訳作業もできるし、ワープロも使えるし、更にインターネットだってやれますからね。

 D:実は、そのインターネットが重要なんです。

 Q:CD図書と関係があるんですか。

 D:大いにあります。CDはデジタル信号ですから、インターネットを使ってCDの内容を直接送ることができ、視障者も自宅でいながらにしてCD図書の利用ができるようになります。更に、DAISYシステムで作成した日々の情報をインターネットで視障者に提供する研究も始まっています。

 このサービスは、アメリカではすでにその一部が実用化されているようです。

 Q:そうそう、日点ではDAISYとは違う方式でCD図書を作成すると聞きましたが。

 D:そのようですが、利用者には何の影響もありません。CD作成時の編集画面がDAISYとは異なりますので、ボランティアはどちらか使いやすいほうを使えばよいと思います。ただ、DAISYは国際標準規格です。このへんは重要なことですね。

 Q:残り紙面が少くなりましたので、最後にもう一つだけ。視障者のなかには、CD再生器が日常生活用具に指定されるまで購入を待つという方もいますが、そのへんの動きはあるのですか。

 D:要望はしているようですが、なかなか厳しそうです。視障者団体からは、パソコンを指定品目にしてほしいという声が強いようです。私は、むしろ、テープレコーダーが指定されているわけですので、それと同等と解釈することを要望した方が早いのではないかとも思っています。

 Q:余談ですが、最近、盲聾者の指定品目にピンディスプレイを加えることが決まったようですが、パソコン機器への要望の結果だったのですね。

 D:そうだと思います。今後PLEXTALKなどのCD図書再生器の指定品目要求も強くなることでしょう。その時のためにも積極的なCD図書作成の動きが大事になってくるわけです。

 Q:今日はどうも有難うございました。

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