視覚障害者用情報機器あれこれ(その2) 
                                                                                                                                                Q:貴方  D:増本

Q:先月は活字読み上げソフトを中心にうかがいましたが、今月はどんなお話でしょうか。

D:今月はスクリーンリーダーについてお話しましょう。これは名称から分かるようにパソコンの画面情報を音声化するもので、DOS用とWindows用があります。

Q:DOSというのは、以前広く使われていたパソコンのプログラムですね。

D:そうです。今はほとんどのパソコンがWindowsで動いていますので、一般にはDOSは過去のものとなってしまいました。でも視覚障害者の間ではまだまだ現役として活躍しています。

Q:そういえば以前本会で積極的に普及を図った点訳ソフトのBASEもDOSで動いていますね。

D:DOSは古いパソコンで動きますので、費用もあまりかからず、アイボランティアにとっても大事なシステムといえますね。有名な「一太郎」や「ロータス1・2・3」もまだDOS上で使っている人が結構いるようです。
Q:こうしたDOS版のソフトを使うときに画面を読ませるものがDOS用のスクリーンリーダーということでしょうか。

D:主なものにVDM100シリーズとグラスルーツがあります。グラスルーツは本会顧問の石川教授がつくったものです。VDMは石川県の斎藤さんという方が作ったもので、視覚障害者の間ではDOS音声化ソフトの定番となっています。

Q:音声はどこから出るのでしょうか。パソコンにはスピーカーが内蔵されているということを聞いたことがありますが、それを使うのでしょうか。

D:内蔵スピーカーは使いません。それぞれのソフトに対応した音声装置を用意する必要があります。

Q:そういえば、以前AOKワープロ(視覚障害者用ワープロ)を見たときパソコンの横に弁当箱ぐらいの音声ボックスがあったのを覚えていますが、あれがそうなんですか。

D:そうです。「AOK」の音声装置以外にも「音次郎」や「YLV」「しゃべりん坊」「おしゃべり君」など色々な物が開発されました。そのなかで、最も広く使われた(されている)のが富士通のFMVS101(通称VSU」というものです。でもこの装置は昨年生産を完了してしまいました。

Q:皆さんから愛用されていたのに残念ですね。

D:これからはWindows時代ということで、生産を中止したのではないかと思います。でもVSU生産完了と同時に、今度はアクセステクノロジーから「かるがるボイス」が発売されました。この音声装置は筐体がアルミ製のものやプラスチック製のもの、あるいはパソコン後面に挿入可能なボード型、そして電源もアダプターを使って100Vにつなぐものや、パソコンから供給してもらうものなどいろいろなタイプが用意されています。特にプラスチック製は小型軽量ですのでノートパソコンには最適な音声装置です。

Q:それはいいですね。視覚障害者もノートパソコンを持ち歩ける時代が来たわけですね。

D:ノート用として他に電池で使える音声装置(しゃべりん坊ポータブル)がありましたが外形はそれほど小さくないためあまり普及しませんでした。プラスチック製の「かるがるボイス」は重さも80グラムと軽く、厚さ2cm以下で大きさもカセットテープケースぐらいですので胸ポケットに入ります。電源もパソコンから取ることが可能ですので持ち歩きも苦になりません。

Q:電車内や会議などでパソコンを使うことが可能になりますね

D:これはDOSの話でしたが、実はWindowsを使えば、この音声装置も不要になるのです。

Q:それは朗報ですね。どんなソフトを使うのでしょうか。

D:Windows画面を音声化するソフトとして代表的なものは「PC−Talker」「95/98Reader」それに「VDM100W」の3種類です。

Q:95Readerというのは何度か聞いたことがありますが。

D:DOSの操作はキー操作が基本でした。キーボードから文字や記号を入れたり、他のキーを押したりして操作を行っていました。ところがWindowsになって操作方式は一変しました。つまり画面上にある絵やマークにポインタを合わせてマウスをクリックするという操作になったのです。
 画面上の任意の場所にポインタを移動するなどということは視覚障害者には全くお手上げの操作です。パソコンの登場で視覚障害者の情報環境も大きく改善されると思っていたのに、Windowsの出現はかえってその差を広げることにもなってしまいます。こうしたときに、Windows画面の音声化という夢を実現したのが95Readerの登場でした。このソフトの実現により、いよいよ視覚障害者もWindowsへと大きく変わっていくことになりました。

Q:よかったですね。

D:そしてAOKやMY−WORDで有名な高知システムもWindows化へ本格的に乗り出し、「PC−Talker」というWindows音声化ソフトを完成させたのです。

Q:95ReaderとPC−Talkerの大きな違いはどこでしょうか。

D:難しい質問ですね。読み上げについてはPC−Talkerで読めて、95Readerで読めなかったり、また、その逆だったりで違いを簡単に説明することはできません。画面のメッセージの仕方についても微妙に違います。両者を比較してもトータルで優劣はつけられません。一番良いのは両方購入し適宜使いわけるのが良いと思います。

Q:6点によるキー入力はどうでしょうか。

D:両ソフトともに切り替え可能です。なお、「VDM100W」はDOSのVDMキー操作方式を継承していますので、VDMの操作に慣れている人は使いやすいと思います。「95Reader」は「EXCEL」や「WORD」に対応していますのでこれらのソフトを使う人には便利でしょう。なお「PC−Talker」はこれらのソフトには対応していません。メーカーサイドではいずれ対応させたいとも言っていますが、自社のワープロソフトであるMY−WORDUとの関わりもあり難しいところでしょうね。

Q:話が前に戻りますが、Windowsの場合は音声装置を付加する必要がないのでしょうか。

D:Windowsを立ち上げるときに短い音楽が出ますね。つまり、Windowsは始めから音声機能を持っているのです。ですから、付加する必要がないのです。

Q:紙面が足りなくなりましたので、今日はこれで失礼します。有難うございました。

−−お詫びと訂正−−
 前号の本欄で活字読み上げソフトの種類の中で「マイリード」と書くべきところを「マイワード」と書いてしまいました。お詫びして訂正いたします。

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 視覚障害者情報機器アクセス支援グループ 代表  増本 旭
 Tel・FAX 0538-43-2952 携帯 090-9176-3880 NIFTY Serve ID RXM05721


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