これは私の家の庭に住む佝僂女である。彼女は自分が佝僂のせいで、よくないことばかり考えている。
雌鶏たちの方では別になんにも言いはしない。ところが、だしぬけに、彼女はとびかかって行って、うるさく追い回す。
それから今度は頭を下げ、からだを前かがみにして、痩せっぽちの脚に全速力を出して走って行くと、一羽の七面鳥が円く羽を拡げているちょうどその真ん中を狙って、堅い嘴で突っかかる。この気どりやが、ふだんから癪に障
ってしようないのだ。
そんな風で、頭を青く染め、ちょび髭をぴくぴくさせ、いかにも兵隊好きらしく、彼女は朝から晩まで独りでぷりぷりしている。そうしては理由もなく喧嘩を吹きかけるのだが、多分、しょっちゅうみんなが自分のからだつきや、禿げ上がった頭や、へんに下の方についている尻尾などを笑いものにしているような気がするのだろう。
そして、彼女はひっきりなしに、剣の切っ先のように空気を劈く調子外れの鳴き声をたてている。
時々、彼女は庭を出て、どこかへ行ってしまう。お蔭で、平和な家禽一同をいっときホッとさせる。ところが、彼女はまたやって来る。前よりもいっそう喧しく、騒々しい。そして、無茶苦茶に地べたを転げ回る。
いったい、どうしたのだ?
彼女は胸に一物あって、芝居をやっているのである。
彼女は野原へ行って卵を産んで来たのだ。
私は気が向けば、そいつを捜しに行ってもいい。
彼女は、佝僂のように、埃のなかを転げ回っている。