小さな芽の成長を願って

          H君(4歳)のお母さん


 我が家の次男は,平成3年9月に生まれました。今でこそ「いこいのアンパンマン」などと言われていますが,一歳位までは,お目々パッチリで女の子みたいに可愛らしく「ベビーモデルにでも応募しようかな」などと思っていた位でした。
 そんな息子が何か普通の子と違うと感じたのは,一歳半位の時でした。視線が合わない,多動,真似をしない,と不安材料は日毎に増えていき,遂に二歳五ヶ月の時に「自閉傾向を伴う精神発達遅滞」と診断されたのでした。その時の気持ちは,ショックというよりは,かかっていた靄が晴れたような,むしろすっきりした気持ちでした。
 その後縁あって,二歳十ヶ月より「いこいの家」に御世話になり現在に至っています。
 入園当初は,おもらしばかりだし,落ち着きもなかったのが,今ではオマルでおしっこもできるようになり,笑顔もたくさん見られるようになりました。何より嬉しいのは,先生に甘えて抱きついたり,お友達と手をつないだりする事が出来るようになったことです。今までは,息子に対して「どうせ出来ないだろうな」と早くから決めつけてしまっていました。しかし「子の心,親知らず」といったところで,当の息子はポーカーフェイスで,ある日突然オマルにおしっこしたり,スプーンで御飯をすくったりするのです。
 以前呼んだ本の中に,障害のある子を育てる事は,草花の種を蒔く事に似ていると書いてありました。種を蒔いても,その種がちゃんと発芽するかわからない。しかし,なかなか発芽しないからといって水を与えるのを止めたら,その種は土中に埋もれて枯れてしまう.たとえすぐに目に見えなくても,必ず芽が出ると信じて水を与え続けなければならない・・・という様な事が書いてありました。
 息子が,今いろいろな事が出来るようになってきたのは,毎日毎日,先生やお友達が水をかけて続けてくれたおかげだと思います。親だけでは,水をやり続ける事に疲れて枯らしてしまったかもしれなかった種が,今ようやくポッと芽を出す事ができたのです。
 息子という芽は,今出たばかりの小さな双葉ですが,これからはどのように成長し,どんな形の花を咲かせてくれるのでしょう。これからも,いろいろな人の手を少しづつお借りして,毎日水を与え続けていきたいと思っています。


Copyright(C) 1995 静岡市心身障害児福祉センター「いこいの家」
出典:いこいの家通信 No.163
静岡市心身障害児福祉センター「いこいの家」
協力 ボランティア通信from静岡
ボランティア通信from静岡