明日に向かって

          Mちゃん(6歳)のお母さん


 6年前、我が家に待望の女の子が誕生しました。しかし、生後3ヶ月より痙攣発作が始まり、それからは入退院を繰り返し生死の間をさまよう事もありました。
 「大変だ」「これから先はどうなるのだろう」等と言っている暇も無いほどで、ただひたすら目の前に起こった事だけを片づけていくという感じでここまで来ました。
 昨年4月に主人の転勤で静岡に引っ越して参りました。不安でいっぱいだった新しい土地だったのですが、市役所の方から「いこいの家」の事を教えてもらい、入園させていただく事ができました。そして私たち親子の静岡での生活は「いこいの家」から始まりました。
 難病の娘も「いこいの家」の先生方のおかげで、お友達との集団生活を送ることができ、またその子に応じての個別のご指導もしてくださるので、親子で楽しみながら取り組んでいます。この取り組みのおかげで娘に今必要な方向づけが良く分かり、ゆっくりではありますが確実に成長しています。弱かった娘の体も、静岡の気候温暖な土地のおかげでグンと体力アップしました。
 娘の病気が判ってからというものは、驚かされる事ばかりでしたが、小さい事に感謝できたり、素敵な人たち(先生方やお母さん方)と出会えたりして、私自身この娘のおかげで得る事が多く、いろいろな時を経て、ようやく感謝できるようになってきました。
 ノーベル文学賞に選ばれた大江健三郎氏も、一度は障害のある息子さんをご自分の中で亡き者としながら、やがて思い直し、その息子さんと共に歩んで行く事を人生の中心に置き換えられました。その結果、息子さんを感情豊かな人に育て上げられ、ご自分も世界的に偉大な作家として活動されておられます。
 障害のある子供にとって大きな力となるのは、枠にはまった療法や技術ではなく、親子の絆や人間愛がいかに大きな力となっているかという事が判りました。
 私の娘も本当に薄紙を剥ぐほどの成長ですが、悲観として捉えず、喜びに変えて、家族や先生の助力を受けて、これからも頑張りたいと思います。


Copyright(C) 1996 静岡市心身障害児福祉センター「いこいの家」
出典:いこいの家通信 No.176
静岡市心身障害児福祉センター「いこいの家」
協力 ボランティア通信from静岡
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