おかえり

          Kくん(5歳)のお母さん


我が家の長男は、仮死で生まれました。その状態はとてもひどく、すぐに済生会のNICUに運ばれました。夫は私に、「元気に泣いているよ。」と言っていました。その言葉に励まされて産院を退院し、子どものところへ面会に行きました。初めて見たわが子、細い小さな手足に何本もの点滴の管、口には人工呼吸器が付けられていました。眠っている子どもの顔を見ていたら涙が止まりませんでした。先生は、「けいれんがひどく、強い薬で眠っています。」と言いました。「なんで?元気に泣いているって言ったのに……」夫は私を元気づけるために嘘を言っていたのです。そして、先生は「命は助かります。でも、呼吸ができなかったために脳に酸素が行かず、重度の障害が残ります。」と言っていました。でも、その時私は、「障害なんてどうでもいい。早くこの子を私のところに返して!。」と思っていました。
それから4ケ月、毎日毎日昼と夜の面会に行きました。先生が「がんばっているからそろそろ家に帰るようにしよう。」と言ってくれた時には、やっと帰ってくるんだと思い、涙が止まりませんでした。それからは主人と必死でした。ミルクは飲まない、笑わない、動かない、泣いてばかりいる航平。イライラして主人に八つ当たりをして喧嘩をしたこともありました。でも、やっと帰ってきたわが子、二度と別れたくないと思って頑張ってきました。
 今ではあの辛かった日々が嘘の様です。リハビリに通い、何度も医療福祉センターの母子入園をしました。そのかいあって、よく笑い、寝返りもできる様になりました。友達もたくさんできました。毎日、元気いっぱいで遊んでいます。
 今航平の大好きなこと、それはいこいの家に行くこと、お友達と遊ぶこと、おいしいごはんを食べること……もっともっと大好きなことを見つけよう。
 「おかえり、今日は何して遊ぼうかな?」


Copyright(C) 1998 静岡市心身障害児福祉センター「いこいの家」
出典:いこいの家通信 No.196
静岡市心身障害児福祉センター「いこいの家」
協力 ボランティア通信from静岡
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