マイペースで頑張れ

          Rくん(6歳)のお母さん


平成4年8月2日、息子は産まれました。先天性心臓疾患の息子は1歳3ケ月になろうとしている平成5年10月26日、第2の人生が始まりました。前日、心臓カテーテル検査のため入院し、2〜3日で退院する予定でしたが、検査の後の食事が気管に入り、一命は取り留めたものの後遺症が残ってしまったのです。今でも忘れることができない隆我の顔。どうすることもできない自分……。「食事をさせなければ……、入院をさせなければこんなことにならなかった」と、ずっと後悔していました。まだその時は息子に後遺症が残るなんて思ってもなく、今付いている人工呼吸器も、たくさんの点滴もすぐ外すことができると思っていました。その願いも虚しく、話すことも歩くことも食べることさえできなくなってしまった息子。厳しい現実でした。一ケ月で呼吸器も取れました。一生懸命小さな体で生きようとしている息子に、泣いてばかりいる自分が情けなくて……。自分でできることをしようと思いついたのが身の周りことでした。口に触れる全てに口を開いていた息子でしたが、歯磨や口のマッサージで、それもなくなり、何かをすれば少しでも応えてくれるが嬉しくて、なんでもしてあげようと前向きに考えられる様になりました。
約2年間の入院生活の間に息子には弟ができ、面会に行けない時があり、目が右上にずっと上がっていることがありました。先生は、「緊張が強くなってきたため。」と言っていましたが、毎日面会に来ていた母が突然来なくなったのですから不安で寂しかったのだろうと思いたいのです。今はよほどの緊張がない限り、目がずっと上がってしまうことはありません。息子にとって今は日常的になってしまったパパ、ママ、弟の声や家の中の生活の音ですが、退院したばかりの息子にはきっと新鮮に感じたと思います。今では、弟に負けない様に自己主張も出てきました。息子のささやかな自己主張をもっともっと増やしてあげたい。
平成9年4月、「いこいの家」に入園し新しい生活が始まりやっと慣れ、今年は年長さんになりました。今年、幼稚園に入園した弟に伸長も体重も追い抜かれてしまいました。でも、少しずつですが、体だけでなく、息子も確実に成長しています。この成長を止めてしまわないように、息子のできることを探してあげたい。マイペースでいいから頑張れ。


Copyright(C) 1998 静岡市心身障害児福祉センター「いこいの家」
出典:いこいの家通信 No.198
静岡市心身障害児福祉センター「いこいの家」
協力 ボランティア通信from静岡
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