娘の笑顔に教えられること

          S子ちゃん(5歳)のお母さん


平成6年1月、定期検診の時、突然医師から「10日後のあなたと赤ちゃんは保証できない。」と言われました。前日まで元気に仕事をしていた私ですが、緊急入院。予定日より一ケ月早く帝王切開で出産しました。元気に産声を上げ一安心、でも娘は手術台の上で寝ている私の上を素通りし、すぐNICUへ連れていかれました。体重が2140gしかない未熟児であること、心臓などに障害があることを知らされた時は、目の前が真っ暗になったことを覚えています。

1ケ月後、ようやく退院したものの、体カや吸う力のない娘は30分かけてようやくミルクを20cc飲めるだけ。ミルクをやりながら(この子は大きくなるのだろうか)不安な毎日でした。検診では、「反応がないから目も見えないかもしれないし、耳も聞えないかもしれない」と言われ、生まれて半年は不安ばかりが大きくなり、よそのお母さんのように子育てを楽しむどころではありませんでした。

半年を過ぎた頃から徐々に身体面での不安は取り除かれ、二コ二コ笑う娘の成長を喜ぶ心の余裕も生まれました。

しかしそんな喜びも束の間、言棄の遅れが気になりはじめました。呼びかけにも答えないわが娘の姿が普通の子とは違うと気づきはじめてもいました。産まれた時からずっとお世話になっているこども病院の言語の先生に紹介され、親子教室を経て、平成10年4月に入園しました。入園したばかりのころは泣いてぱかり。給食も食べず、どうなることかと思いました。しかし徐々に帰宅後の娘の様子が変わってきました。以前にも増していきいきとしているのです。娘にはきっといこいの家の生活が合っているのだと思いました。できることも増えました。給食を残さず食べること、物の名前がたくさん言えるようになったこと、歌をたくさん覚えたこと、友達と手をつなげるようになったこと・・・。どれも5歳としては当たり前のことかもしれませんが、そのひとつひとつが私や家族の喜びです。先生方に深く感謝しています。

娘の将来を考えると、まだ不安も大きく、落ち込んでしまうこともあります。でも娘の笑顔は私のそんな気持ちを吹き飛ばしてくれます。いこいの家で一生懸命頑張り、一つずつクリアしている娘の前で暗い顔をしているなんて恥ずかしいです。 「毎日笑顔で頑張っていれば、少しずつできるようになるんだよ、お母さん。」と娘の笑顔は私にそう教えてくれているような気がします。私も笑顔を忘れず、あせらず前向きに歩んでいきたいと思います。


Copyright(C) 1999 静岡市心身障害児福祉センター「いこいの家」
出典:いこいの家通信 No.207
静岡市心身障害児福祉センター「いこいの家」
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