かわいいおねだり

          Tくん(6歳)のお母さん


我家の末っ子長男はとても甘えん坊。ニコニコ笑顔をふりまいて、今日も家族の周りをうろちょろしています。
お姉ちゃん達へのおねだりは紙芝居。「よんでー」「もういっかい」「おねがい」と、次々言葉が飛び出します。あまりのしつこさに、さすがのお姉ちゃん達も少々うんざり。
パパへのおねだりは肩車。「よいしょ、よいしょ」と言いながら、パパの体を登ります。もう6歳、体もだいぶ大きくなってきたのでパパも大変です。
私には「おなかさわる」と立派な二語文で迫ってきます。さわり心地がいいのはわかるけど、4月からは1年生。そんなことをしては「いけません!」

こんな息子の障害を知ったのは、息子が2歳10ヶ月の時でした。その頃の息子は、視線があわず、言葉もでない。パソコンやビデオやテレビゲームに常に没頭しているような子どもでした。不安は感じていましたが、まさかそれが障害だと思っていなかったので、かなりショックでした。それからの私は、できるだけ息子とのかかわりを持とうと必死でした。私が頑張らなくては、という気負いばかりが先に立ち、精神的にかなり追い込まれていた気がします。結果の出ないもどかしさに、息子を責め自分も責める日が続きました。何とかしなければとあせる中で、何冊かの本と出会いました。実生活とは離れた中で、私は自分を取り戻すことができ、子育てに大事なのは、この心のゆとりなんだろうなと気づきました。

「いこいの家」に入ってからの息子の成長は、家族も驚くほどのものがあります。強い偏食も、わずか数ヶ月で緩和されました。衣服の着脱、ボタンはめもみるみる上達しました。うたえる歌のレパートリーも増え、時には手あそびをしながら口ずさんでいることもあります。先生方の驚くべき指導力に頼りない母は脱帽です。母親だからといって、自分が一番の指導者というわけではないことを思いしり、人に助けてもらえるありがたさを実感しました。「いこいの家」は、息子にとっても、私にとっても、成長できる最適の場所だった気がします。

これからもいろいろな問題や悩みが出てくると思いますが、できるだけ心を落ち着かせ、どっしり構えた母になりたいと思います。そして息子の少しずつの成長を見守りながら、気楽にのんびり歩いていこうと思います。 ついつい聞いてしまうかわいいおねだりに惑わされないようにしながら・・・。


Copyright(C) 2003 静岡市心身障害児福祉センター「いこいの家」
出典:いこいの家通信 No.251
静岡市心身障害児福祉センター「いこいの家」
協力 ボランティア通信from静岡
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