静岡県知事  川勝 平太 様 静岡県健康福祉部長  山口 重則 様 平成27年度 身体障害者団体要望書 平成27年10月27日 社会福祉法人 静岡県身体障害者福祉会 会 長     二橋 眞洲男 公益社団法人 静岡県視覚障害者協会 会 長    須藤 正起 公益社団法人 静岡県聴覚障害者協会 会 長    藤原 基時 静岡県車椅子友の会 会 長    青野 全宏 日本喉摘者団体連合会 静岡県静鈴会 会 長    石川 武利 公益社団法人 日本オストミー協会静岡県支部 支部長    佐藤 悠二 日本心臓ペースメーカー友の会 静岡県支部 支部長    内村 紀雄 特定非営利活動法人 静岡県中途失聴・難聴者協会 理事長    佐野 昇 静岡県腎友会 会 長     鈴木 孝尚 要   望   書 1 全体要望 (1)障害者差別禁止条例の制定について     障害者差別解消法が平成28年4月に施行されることに伴い、国においては「障害を    理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」が閣議決定され、現在は職員対応要領     及び事業者のための対応指針を策定するための手続きが進んでいます。静岡県において   も、障害者権利条約の批准に沿い、また、地域に密着した「静岡県障害者差別禁止条例」   を制定してください。 (2)災害・防災に備えた施策の推進について    近年自然災害が全国的に多発していますが、要援護者である障害者は救助や避難生活         に不安を抱いています。安心・安全な暮らしができるように、障害の特性等を考慮した 対策を一層進めてください。 (3)団体の維持・強化に対する支援について     各身体障害者団体は、障害者の自立や社会参加等を図るため、静岡県の委託事業をは じめ、さまざまな活動に取り組んでいます。しかし、会員の減少・高齢化、あるいは財 政的基盤の脆弱化など、組織として危機的状況にあります。団体の努力はもちろんです が、今やそれだけでは解決できない状況にあり、県・市町の支援について検討してくだ さい。    2 団体別要望 ● 社会福祉法人 静岡県身体障害者福祉会 (1)団体に対する支援について     会員の高齢化及び減少により、60有余年続いた本会組織は人的かつ財政的に非常に     苦しい状況にあります。障害者の自立と社会参加を図るためには、安定した組織の存在   が欠かせないにもかかわらず、脱会する団体もでています。市町が地域の身体障害者福   祉会に補助金を支給する場合、任意団体の市町身体障害者福祉会に支給することなく、    社会福祉法人である本会の会員でいることを支給条件としていただくよう御指導くだ   さい。 (2)送迎バス等の支援について     これまで、身体障害者がさまざまな事業や行事に参加するためには、市町等がマイク ロバスを提供してくれる一部の地域を除き、身体障害者が運転する自家用車に相乗りで 出かけることが一般的でした。しかし、会員の高齢化に伴い、自動車を運転することが 危険な状況になっており、社会参加の機会が奪われています。このため、貸し切り送迎 バスの経費補助、あるいは福祉バス等による移送支援ができる方策を御検討いただきた い。 (3)体育館等の施設の適切な維持管理について     本会は、県から身体障害者福祉センター運営事務委託を受けており、その事務の中で 福祉団体への便宜供与として体育館等の施設の貸出業務を行っていますが、施設の維持 管理については、委託の対象外だと考えています。     現在、体育館においては、車椅子使用者専用のウォータークーラーが故障して利用で きないこと、体育館の床に滑るところがあって利用者から苦情が出ていること、体育館 は総合社会福祉会館の床清掃から除外されていることなど、施設に係る修理や維持・管    理が適切におこなわれていない状況です。このようなことは、障害者に対する「合理的   な配慮」に欠けていると言わざるを得ないと考えますので、施設の適切な維持管理をお   願いします。 ● 公益社団法人 静岡県視覚障害者協会 (1)各市町における補装具・日常生活用具の給付や同行援護制度などの窓口には、制度を 熟知した担当者を配置できるよう研修会を開催する等、県内の行政サービスの地域間格 差を解消できるよう、県からの指導を要望する。   (2)入院時におけるホームヘルパー制度と同行援護サービスの利用について、現行の制度   では対象外である為、入院時のサポート体制の充実化を図るため、国への働きかけを要   望する。 (3)視覚障害者の情報保障の観点から、県・市・町などのホームページの内容を読む事が   できるよう、必ずテキスト形式での掲載もお願いしたい。特に、災害に関する情報につ   いては、地図やPDF添付では確認が出来ないので強く要望する。 (4)県内行政機関における、視覚障害者への個人宛発信文書は、点字・拡大文字・音訳な   ど、必要に応じた媒体(本人が確認できる形)で配信するよう要望する。   ● 公益社団法人 静岡県聴覚障害者協会 (1)第51回全国ろうあ者体育大会への知事名誉会長就任と大会への協力依頼    平成29年9月21日(木)〜24日(日)に第51回全国ろうあ者体育大会(主催:(一 社)全日本ろうあ連盟、主管:当会)を静岡県静岡市、島田市、牧之原市で開催するこ とが決定した。10競技が実施され、全国から2,500人が集結する。大会の成功のため に、静岡県においても従来の大会にならい、県知事の大会名誉会長就任や、会場の優先   予約、県民や報道への広報など、様々な支援と協力を要望したい。 (2)県からの委託事業     情報センターや県からの委託事業費のカットが毎年続いている。平成21年から800 万円がカットされている。くわえて、情報センター職員給与は開所した平成11年から 人件費が据え置きとなっている。このような例は全国では静岡県ともう1県のみである。 特に事務費の削減は毎年のように厳しく行われている。これ以上の削減がないように望 む。 (3)手話言語法・手話言語条例     2014年7月9日、静岡県議会で手話言語法の制定を求める意見書が採択され、10 月には、35市町の議会全てで採択された。全国では99.2%の自治体が採択する驚異的 な広がりとなっている。手話言語条例については、2015年6月22日現在、鳥取県や群 馬県、松阪市、神戸市など、3県・15市町で制定されている。静岡県においても手話 言語条例の制定を求める声が多く、先般の当会理事会でも、今後手話言語条例を要望し ていくことを確認した。このことについて、ぜひとも県のご理解をお願いしたい。 (4)ピアカウンセリング事業    当協会が県から委託を受けている「親子手話教室」「聴覚障害児相談」「ピアカウン セリング」の3事業は、平成18年、当時の障害福祉室の主導で事業が決定、当協会が 受託し、今まで苦労を重ねて事業を育て、これらの事業が相互の相乗効果を生んでいる と考えている。しかし、なぜかピアカウンセリングについては、事業内容も知らない医 療や教育関係者から否定的な意見があることを知った。私たちはこの会議に招かれるこ ともなく、当事者として説明する機会を与えられていない。私たちの預かり知らないと ころにおいて、当協会の事業が費用対効果が悪いなどと批判を受けるいわれはない。私 たちは、今や障害者の合言葉とも言える「私たち抜きで私たちのことを決めないで」を 掲げ、このことについて強い意志を示したい。健康福祉部は自らが作ったこれら事業の 必要性、重要性について、あらゆる場面において理解が得られるよう説明責任を果たす ようお願いしたい。 (5)市町手話通訳者・設置手話通訳者    手話通訳者は県で養成され、市町はその手話通訳者を登録して手話通訳派遣事業を 行っている。しかし、市町によっては「趣味」「文化教養講座」などには派遣されない。 これでは文化的に豊かに生活する権利が奪われ、差別に等しい。市町に対して、ろうあ 者の社会参加を後押しするよう県からも手話通訳者派遣に理解を示すよう発信をお願 いしたい。   市町設置手話通訳者についても、県内全市町での設置と労働条件の改善・身分保障 を求める。また、県登録手話通訳者を市役所や福祉事務所の設置手話通訳者として雇用 すると、庁外での通訳活動が副業と見なされ手話通訳活動ができない。県からは手話通 訳者の必要性、副業には該当しない旨などの説明や規程作りなど働きかけをお願いした い。 ● 静岡県車椅子友の会 (1)移動と交通機関について      富士山静岡空港の増築には、障害者の意見を取り入れる場を設置していただきたい。 (2)就労について    重度障害者の雇用を増やすため、現在雇用している優良企業の雇用好事例集など配布 し、雇用の啓発を図っていただきたい。 (3)建物のユニバーサルデザインについて      2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催にあわせ、サイン類の統一化、広め のトイレの増設、人的対応での受付の接し方、車いすの動線の連続性など、静岡県内 のスポーツ施設の再点検・再確認を行い、更なるユニバーサルデザイン化を図ってい ただきたい。 (4)災害・防災対策について    仮設住宅のユニバーサルデザイン化など、障害者高齢者がスムーズに入居できるよ うに考えていただきたい。 (5)その他    県内各圏域に、差別事例を収集する相談員を設置していただきたい。また、その事   例を解決するための協議会を設置していただきたい。 ● 日本喉摘者団体連合会 静岡県静鈴会   ・ 避難行動要支援者登録台帳の活用について     各市町で整備している、避難行動要支援者登録台帳に登録することによって、災害    時に支援が受けられることの広報・周知を望む。 ● 公益社団法人 日本オストミー協会 静岡県支部    ・ 災害時の対応について    災害時に備えてストーマ装具の無償給付をお願いします。また、ストーマ装具の在庫    の確保(6ヶ月分の使用数量)も併せてお願いします。 ● 特定非営利活動法人 静岡県中途失聴・難聴者協会  我が国の障害者制度改革は障害者基本法(2011 H23.4)の改正に始まり、障害者総合支援法(2012 H24.6)が成立・施行され、3年後を目途に支援のあり方の見直しと措置を講ずるものとされた。更に障害者差別解消法(2013.)施行、障害者権利条約の締結(2014 H26.2)と進められてきました。障害者福祉制度の内実、障害の定義と認定基準とされている身体障害者福祉法との乖離は依然として従来のままです。条約や上位法との齟齬を解消し、真に障害者の人権が守られるような、障害があっても安心して暮らせる社会の実現に向けて、尚一層のご尽力と施策推進に邁進していただけるようお願いするものです。 (1)全国統一要約筆記者認定試験実施を県事業として実施してください。   平成23年度より当会が実施主体となり試験の実施をしています。全国での試験実施  に合わせてスタートしました。要約筆記者認定試験は、県の派遣実施要綱に基づく要約  筆記者の養成、登録、試験、派遣と一連の要約筆記事業の中で行われるべきものと考え  ています。すなわち、養成事業を実施する主体である県が本来的に責任を持って実施す  べきものです。県としての「個人の資格取得に関することは、受験する本人の負担で」  という考え方の下で、当会が過去4回にわたって実施しています。しかしながら、県事  業としての養成・派遣事業を実施するにあたり円滑なる運用を図るために、養成レベル  の知識・技術・対応の専門性に見合う「資質」確認のために全国的に実施されています。 (2)大規模災害に備えるための情報伝達を行政の責任で進めてください。    東日本大震災の被災地同障者への支援は全国組織を通じて救援・支援・復興援助を進 めている。しかし、自然災害(地震、津波、台風等)に対する命を守る防災については、 日ごろからの備えが、ひとたび災害が発生した時に真価が問われる。命を護る備えは、 県民全てにとっての課題です。しかしながら情報障害者である聴覚障害者は、拡声器や 広報・防災無線の声の放送では情報伝達に無理があります。地域の繋がりや結びつきの 中で障害に対する地域の理解や対応が図れるような地域防災が行われるよう、県行政の 責任で障害の特性に対応できる対策が取れるように進めていただきたい。また市町にも 啓発してください。また、避難所開設では、情報障害者への配慮に関するシミュレーシ ョンを実施するとともに、当事者や関係者の要望・意見を取り入れた対応ができるよう にお願いします。 (3)防災ラジオに字幕送受信・表示機能を付けてください。     テレビの地デジ移行に伴い、視覚障害者の方々が活用していたアナログテレビ放送 の音声放送が受信できなくなった。聴覚障害者では、テレビの地デジ化により、ラジオ の文字放送も極端に少なくなっている。携帯電話でラジオ放送が楽しめる機能があるが、 この機能は余り聴覚障害者の間では利用されていない。むしろ、インターネットを活用 した遠隔情報通信・配信が進んできている。   しかし、ライフラインの切断等に対処する場合のラジオ放送の役割は東日本大震災で も見直されている。県内各市の防災ラジオの配付では、申込が非常に多く配付を続けて いる。この配付ラジオは、特にローカルFM・地域コミュニティーFMとして、複数の 市により運営されている。このラジオ放送に字幕受信・表示機能が付加されることによ り、聞こえに困難な県内の聴覚障害者には大きな福音となる。ラジオには、外部出力端 子などもあり、容易に表示端末に接続できる構造になっている。   また、日常生活用具の交付品目に多機能携帯端末と聴覚障害者用通信装置を追加して ください。 (4)静岡県聴覚障害者情報センターの相談機能充実のため言語聴覚士・認定補聴器技能   者の配置をしてください。     聴覚活用を図るには営利を伴わない立場で関わる専門家の配置が求められます。ま た医療的側面では耳鼻科専門医の関わりも大切になります。教育的観点からは療育も大 事です。福祉的観点からは増え続ける高齢者の補聴器を必要とする難聴者も増加の一途 をたどっています。障害認定レベルの基準を世界的なレベルまで下げること(デシベル ダウン)が必要です。また装用指導、訓練等も医療機関と連携できることも課題です。 難聴者福祉充実をはかるうえでも最重点課題として取組んでいただきたい。 ● 静岡県腎友会 (1)CKD(慢性腎臓病)から透析に移る患者を減少させる為に、CKD(慢性腎臓病)予防の   予算を増額して下さい。 (2)透析患者の重症化・合併症による、障害の重複化に伴う要介護透析患者の急増に対応   する医療・福祉両面における在宅サービス及び施設を早急に拡充して下さい。 (3)高齢透析患者の増加に伴う、通院困難な透析患者や医療介護の必要な患者の為にホー   ムヘルパーの増員・訪問看護施設の拡充及び、通院介護を保障する体制を確立して下さ   い。 (4)糖尿病性腎症の予防対策並びに糖尿病性腎症や腎不全から透析患者に移行させない為  の啓発活動を今まで以上に実施して下さい。