要   望   書 1 全体要望 (1)静岡県障害者差別禁止条例の制定について    障害者差別解消法が平成28年4月に施行しました。障害の有無にかかわらず、相互  に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を地域の隅々まで普及させるため、静岡  県障害者差別禁止条例を制定してください。 (2)災害時の対応及び防災施策について    南海トラフを起因とする地震災害が懸念される中、「平成28年熊本地震」が与えた 影響は計り知れません。障害者にとって安心・安全な暮らしができるよう、引き続き障 害の特性等を考慮した施策を講じてください。 2 団体別要望 ● 公益社団法人 静岡県視覚障害者協会 (1)各市町における補装具・日常生活用具の給付や同行援護制度などの窓口には、制度を 熟知した担当者を配置できるよう、研修会を開催する等、県内の行政サービスの地域間   格差を解消できるよう、県からの指導を要望する。   (2)県内における視覚障害あはき師の業権を脅かす無資格者の違反広告等に対する取締り    を徹底する為、関係機関・団体による協議会の設置を要望する。 (3)障害者差別解消条例について、苦情紛争解決の為、機関設置を要望する。 (4)障害者差別解消法が施行された事を受け、合理的配慮を推進する為の予算編成を要望   する。 (5)県内行政機関における、視覚障害者への個人宛発信文書は、点字・拡大文字・音訳な   ど、必要に応じた媒体(本人が確認できる形)で配信するよう要望する。 ● 公益社団法人 静岡県聴覚障害者協会 (1)第51回全国ろうあ者体育大会への知事名誉会長就任と大会への協力依頼    平成29年9月21日(木)〜24日(日)に第51回全国ろうあ者体育大会(主催:(一   社)全日本ろうあ連盟、主管:当会)を静岡県静岡市、藤枝市、牧之原市で開催する。   10競技が開催され、全国から3,500人が集結する。静岡県には「全国手話を広める知   事の会」にも参加いただいたことに改めてお礼を述べたい。この大会の成功に向けて、   県知事の大会名誉会長就任と手話での大会あいさつ、県民や報道への広報など、より一   層の支援と協力をお願いしたい。 (2)県からの委託事業     情報センターや県からの委託事業費のカットが毎年続いている。平成21年から800 万円がカットされている。くわえて、情報センター職員給与は開所した平成11年から 人件費が据え置きとなっている。このような例は全国では静岡県ともう1県のみである。 特に事務費の削減は毎年のように厳しく行われている。平成27年度は削減がなされな かったが、引き続きこれ以上の削減がないように望む。 (3)手話言語法・手話言語条例 2014年7月9日、静岡県議会で手話言語法の制定を求める意見書が採択され、10月   には、35市町の議会全てで採択された。全国では100%の自治体が採択する憲政史上初   の出来事となっている。手話言語条例については、2016年8月23日現在、鳥取県や群   馬県、富士宮市、浜松市など、県内2市を含む全国52自治体で制定されている。静岡   県においても手話言語条例の制定を求め、議員提案にて議会に提出されることとなった。   2017年度に静岡県で開催される第51回全国ろうあ者体育大会に併せて制定されるよう   依頼した。 また、県は障害者差別禁止条例の制定に向けて進めているところであるが、手話言 語条例は言語権の保障であり、差別禁止条例は差別を禁ずるものである。また、「言語 権」と「情報アクセス権」の混同も見られがちであるが、ひとつひとつの条例や権利の 性質はまったく異なるものであり、「差別禁止条例が制定されたので言語条例は不要」 「手話言語条例に手話と要約筆記を盛り込む」などとならないように強く求める。 (4)ピアカウンセリング事業 当協会が県から委託を受けている「親子手話教室」「聴覚障害児相談」「ピアカウンセ リング」の3事業は、平成18年、当時の障害福祉室の主導で事業が決定、当協会が受 託し、今まで苦労を重ねて事業を育て、これらの事業が相互の相乗効果を生んでいると 考えている。しかし、なぜかピアカウンセリングについては、事業内容も知らない医療 や教育関係者から否定的な意見があることを知った。私たちはこの会議に招かれること もなく、当事者として説明する機会を与えられていない。私たちの預かり知らないとこ ろにおいて、当協会の事業が費用対効果が悪いなどと批判を受けるいわれはない。私た ちは、今や障害者の合言葉とも言える「私たち抜きで私たちのことを決めないで」を掲 げ、このことについて強い意志を示したい。健康福祉部は自らが作ったこれら事業の必 要性、重要性について、あらゆる場面において理解が得られるよう説明責任を果たすよ うお願いしたい。また、十分に耳鼻科医やろう学校の理解が得られていないので、この 事業のより広い周知をお願いしたい。 (5)市町手話通訳者・設置手話通訳者    手話通訳者は県で養成され、市町はその手話通訳者を登録して手話通訳派遣事業を 行っている。しかし、市町によっては「趣味」「文化教養講座」などには派遣されない。 これでは文化的に豊かに生活する権利が奪われ、差別に等しい。市町に対して、ろうあ 者の社会参加を後押しするよう県からも手話通訳者派遣に理解を示すよう発信をお願 いしたい。 市町設置手話通訳者についても、県内全市町での設置と労働条件の改善・身分保障 を求める。また、県登録手話通訳者を市役所や福祉事務所の設置手話通訳者として雇用 すると、庁外での通訳活動が副業と見なされ手話通訳活動ができない。県からは手話通 訳者の必要性、副業には該当しない旨などの説明や規程作りなど働きかけをお願いした い。 ● 静岡県車椅子友の会 (1)移動と交通機関について     富士山静岡空港の建物増築に関しては、障害者の意見を取り入れる場を設置していた    だきたい。 (2)就労について    障害者差別解消法、改正障害者雇用促進法などに基づき、重度障害者の雇用を増やす ための合理的配慮の事例紹介や差別を受けている人の相談窓口の充実などの社会への 啓発を行っていただきたい。 (3)建物のユニバーサルデザインについて      2020年東京オリンピック・パラリンピック開催にあわせ、静岡県内の観光施設・スポーツ施設の再点検を行い、更なるユニバーサルデザイン化を図っていただきたい。 (4)災害・防災対策について   ・福祉避難所等への避難の仕方、障害者の避難所での生活や避難所での支援の方法な ど具体的内容について県民に知らせていただきたい。    ・UD仮設住宅など、避難時の生活を安心して暮らせるようにしていただきたい。 ● 日本喉摘者団体連合会 静岡県静鈴会 ・プロボックスというシリコーン製器具を装着して発声するシャント発声の場合、3ヶ月 に一度病院で器具を交換しなければならない。また、永久気管孔に人工鼻を装着した場 合は、原則1日1回取替えが必要であり、取替えには様々な医薬品を購入しなければな らず、経済的な負担が大きい。このため、これらの器具、医薬品を日常生活用具とし、 公費の助成を望む。 ・発声訓練士については、身分の明確化、安定化のため、また指導の受け手へ信頼と安心を与えるため、厚生労働省へ国家資格の認定を要望していきたい。(要望事項ではない) ● 公益社団法人 日本オストミー協会 静岡県支部    ・介護施設等でストーマ装具の交換ができるヘルパー等の養成について    ストーマ装具対象者の高齢化が進み、会員だけの統計を見ても70歳以上が全体の   71%、80歳以上が26%です。高齢者の中には、装具交換が自分でできなくなっ    た時の対応について、不安を持っている人が非常に多いです。介護職場においても、ス   トーマ患者の存在及びストーマ装具の交換の必要性について、職員の皆様方が充分に認   識されているか、どうかは不明です。私達も今後の活動で、ストーマの対策を講じてい   きますので、県においてもオストメイトに対する啓蒙ならびに、ストーマ交換ができる   介護職員を養成していただくようにお願いいたします。 ● 日本心臓ペースメーカー友の会静岡県支部   各市町が作成する障害者のためのしおり(パンフレット・チラシ等)を発行する際に、  友の会の組織があることを掲載していただけるよう県から各市町に通知して欲しい。 ● 特定非営利活動法人 静岡県中途失聴・難聴者協会 (1)全国統一要約筆記者認定試験実施を県事業として実施してください。   平成23年度より当会が実施主体となり試験の実施をしています。全国での試験実施 に合わせてスタートしました。要約筆記者認定試験は、県の派遣実施要綱に基づく要約 筆記者の養成、登録、試験、派遣と一連の要約筆記事業の中で行われるべきものと考え ています。すなわち、養成事業を実施する主体である県が本来的に責任を持って実施す べきものです。県としての「個人の資格取得に関することは、受験する本人の負担で」 という考え方の下で、当会が過去5回にわたって実施しています。しかしながら、県事 業としての養成・派遣事業を実施するにあたり円滑なる運用を図るために、養成レベル の知識・技術・対応の専門性に見合う「資質」確認のために全国的に実施されています。 (2)大規模災害に備えるための情報伝達を行政の責任で進めてください。    東日本大震災の被災地同障者への支援は全国組織を通じて救援・支援・復興援助を進 めている。しかし、自然災害(地震、津波、台風等)に対する生命を守る防災については、 日ごろからの備えが、ひとたび災害が発生した時に真価が問われる。命を護る備えは、 県民全てにとっての課題です。しかしながら情報障害者である聴覚障害者は、拡声器や 広報・防災無線の声の放送では情報伝達に無理があります。地域の繋がりや結びつきの 中で障害に対する地域の理解や対応が図れるような地域防災が行われるよう、県行政の 責任で障害の特性に対応できる対策が取れるように進めていただきたい。また市町にも 啓発してください。また、避難所開設では、情報障害者への配慮に関するシミュレーシ ョンを実施するとともに、当事者や関係者の要望・意見を取り入れた対応ができるよう にお願いします。    具体的には下記2点に対する関係機関等への県からの働きかけ、取組みをお願いしま す。 @防災ラジオに字幕送受信・表示機能を付けてください。 ANHKローカルニュースへの字幕付与をしてください。 (3)静岡県聴覚障害者情報センターの相談機能充実のため言語聴覚士・認定補聴器技能   者の配置をしてください。     聴覚活用を図るには営利を伴わない立場で関わる専門家の配置が求められます。ま た医療的側面では耳鼻科専門医の関わりも大切になります。教育的観点からは療育も大 事です。福祉的観点からは増え続ける高齢者の補聴器を必要とする難聴者も増加の一途 をたどっています。障害認定レベルの基準を世界的なレベルまで下げること(デシベル ダウン)が必要です。また装用指導、訓練等も医療機関と連携できることも課題です。 難聴者福祉充実をはかるうえでも最重点課題として取組んでいただきたい。 (4)県民福祉向上を図るため増大する高齢難聴者への対応をはかるため、補装具(補聴器) の交付に対する県内各市町の担当者及び判定にかかる更生相談所、指定医師(団体)や言 語聴覚士(団体)、及び補装具業者(認定補聴器販売店)とユーザー団体である当会との意 見交換の場を設けて下さい。 (5)本年4月に施行された障害者差別解消法に基づき、県障害者差別解消条例及び情報 アクセス・コミュニケーションに問題を抱える身体(視覚・聴覚)障害者、知的精神障 害者を網羅できる静岡県「情報アクセス・コミュニケーション」条例の制定をお願い します。これを検討する協議の場を早急に予算化し、実施していただきたい。 ● 静岡県腎友会 (1)CKD(慢性腎臓病)から透析に移る患者を減少させる為に、CKD(慢性腎臓病)予防の   予算を増額して下さい。 (2)透析患者の重症化・合併症による、障害の重複化に伴う要介護透析患者の急増に対応   する医療・福祉両面における在宅サービス及び施設を早急に拡充して下さい。 (3)高齢透析患者の増加に伴う、通院困難な透析患者や医療介護の必要な患者の為にホー   ムヘルパーの増員・訪問看護施設の拡充及び通院介護を保障する体制を確立して下さい。 (4)糖尿病性腎症の予防対策並びに糖尿病性腎症や腎不全から透析患者に移行させない為  の啓発活動を今まで以上に実施して下さい。 ● 社会福祉法人 静岡県身体障害者福祉会 (1)団体に対する支援について     会員の高齢化及び減少により、60有余年続いた本会は人的かつ財政的に非常に苦し い状況にありますが、身体障害者の権利の確保や社会参加の促進等に果たす本会の役割 について御理解いただき、御支援をよろしくお願いいたします。また、市町が地域の身 体障害者福祉会に補助金を支給する場合、本会への加入状況や各種事業への参加状況等 を配慮事項に加えていただきたく、市町への御指導を併せてお願いいたします。 (2)日本身体障害者連合会関東甲信越静ブロック協議会結婚促進事業開催への支援につ   いて    このたび、本会が加入する日本身体障害者団体連合会関東甲信越静ブロック協議会が   毎年実施している結婚促進事業(「友愛の集い」)が、平成29年度において本会及び特   定非営利活動法人静岡市身体障害者団体連合会と共催で開催することが決定されまし   た。参加人数は100人程度を予定していますが、経費負担について苦慮しており、静   岡県の御支援について配慮を賜りたくお願いいたします。 (3)送迎バス等の支援について     これまで、身体障害者がさまざまな事業や行事に参加するためには、市町等がマイク ロバスを提供してくれる一部の地域を除き、身体障害者が運転する自家用車に相乗りで 出かけることが一般的でした。しかし、会員の高齢化に伴い、自動車を運転することが 危険な状況になっており、社会参加の機会が奪われています。このため、貸し切り送迎 バスの経費補助、あるいは福祉バス等による移送支援ができるよう御支援をお願いいた   します。 (4)体育館の清掃について     本会は、県から身体障害者福祉センター運営事務委託を受けており、その事務の中で 福祉団体への便宜供与として体育館等の施設の貸出業務を行っています。    ところで、本会が入居する静岡県総合社会福祉会館の指定管理者である静岡県社会福 祉協議会の見解によれば、理由は定かではありませんが、平成21年度から体育館の清 掃は指定管理者業務から外されています。施設利用者である障害者が、使用後に清掃す ることを前提としているとすると、それは過重な負担であり、館内の他の貸出施設との 整合性も取れません。是非、指定管理者業務に