要望書 ● 公益社団法人 静岡県視覚障害者協会 (1)県内市町公務員採用試験における合理的配慮等   県内市町の地方公務員採用試験において、視覚障害の程度や特性に対応した媒体の提供と適切な時間延長、解答方法等、受験環境への合理的配慮を求める。また、合理的配慮の観点から、職員の雇用条件から「自力通勤」の除外を併せて要望する。   (補足説明)   県内全域において、職員採用試験で合理的配慮がなされているか調査したところ、ほぼ全ての市町で実施されてないことが分かった。合理的配慮を促進する上で、地方公務員の雇用に視覚障害への配慮がなされていないことは問題であると思われる。 (2)市町から給付される日常生活用具などの取扱説明書等   各市町における補装具・日常生活用具の物品に対して、各媒体別の詳細な取扱説明書を必ず付けることを求める。また、一般での購入商品の取扱説明書を点訳ないし音訳等した場合の経費に対しても補助金等の配慮を要望する。 (補足説明)   日常生活用具の給付を受け、物品が届いても簡易的なCD、拡大文字説明書しか付いておらず、詳細説明については問合せをしなければならない。   個人で点訳、音訳等を依頼して作成する際、ボランティア等が不足しており、経費が掛かる場合もあるため、補助をお願いしたい。 (3)視覚障害者への生活支援等   視覚障害者の入院時や金融機関等での代筆代読に対し、公的機関を含め十分な支援が受けられるよう、義務化することを要望する。 (補足説明)   意思疎通支援事業が必要に応じて活用できる状態ではないため、各機関への事業内容を周知徹底するとともに、県内関係機関への指導をお願いしたい。 (4)県内行政機関における視覚障害者への発信文書   県内行政機関における、視覚障害者への個人宛発信文書は、点字・拡大文字・音訳など、必要に応じた媒体(本人が確認できる形)で配信するよう要望する。 (補足説明)   特に、個人情報保護の観点から、障害者本人が直接確認できるようお願いしたい。本人で確認できない場合の弊害として、重要書類や提出期限、支払期限がある書類が読まれないままになることや、期限に間に合わない等がある。また、人に知られたくない内容をヘルパーに読んでもらうことに精神的ストレスがかかる等がある。 (5)要望書に対する回答及び意見交換の場の定例化   要望書に対する団体個別の回答をお願いすると共に、意見交換の場を定例化することを要望する。 (補足説明)   運動方針の確認と検討、行政との連携を図るため。 ● 公益社団法人 静岡県聴覚障害者協会 (1)静岡県手話言語条例に定める施策の継続的な実施   2018年3月静岡県手話言語条例が議会にて採択され、その後の補正予算による啓発動画や学習動画の制作、県民向け手話講習会の実施、今年度の手話あいさつ運動推進員養成など、県民に手話を広めるための、様々な施策が行われている。   推進員を活用し、より一層手話の広まりを実感できるように、今後もぜひ、取組みの継続をお願いしたい。 (2)静岡県内の報道番組への手話通訳・字幕の付与   高齢社会となり、今や国民の10%に当たる1,000万人が聞こえに何らかの不便さを感じていると言われる時代になったが、聴覚に障害がある人たちは、ローカルニュースなど地域の情報番組に字幕が付いておらず、身近な話題を知ることができない。   全国的なテレビ番組は字幕の付与が進められているが、県内の報道番組において手話・字幕の導入が進まない。   緊急時・災害時において、ろう者にとってもテレビは大事な情報源である。耳の聞こえない県民にも情報が行き渡るように日ごろから番組への手話・字幕導入を行うよう、県からテレビ局に対する働きかけをお願いしたい。 (3)手話通訳者派遣範囲の拡大、設置手話通訳者の労働条件の改善と身分保障   手話通訳者は県で養成され、市町はその手話通訳者を登録して手話通訳派遣事業を行っている。しかし、市町によっては「趣味」「文化教養講座」などには派遣されない。これでは文化的に豊かに生活する権利が奪われ、差別に等しい。市町に対して、ろう者の社会参加を後押しするよう県からも手話通訳者派遣に理解を示すよう発信をお願いしたい。   市町設置手話通訳者についても、県内全市町での設置と労働条件の改善・身分保障を求める。また、県登録手話通訳者を市役所や福祉事務所の設置手話通訳者として雇用すると、庁外での通訳活動が副業と見なされ手話通訳活動ができない。県からは手話通訳者の必要性、副業には該当しない旨などの説明や規程作りなど働きかけをお願いしたい。 (4)障害者差別解消法及び県条例の周知   平成28年障害者差別解消法、29年には県の障害者差別解消条例が施行された。今までの障害者への差別的な扱いについて、政策課が窓口になったことで行政による調査や指導が行われるようになったことは、障害者が暮らしやすい環境を整備することに大きな役割を果たしている。しかし、まだまだこの条例を知らない事業所がほとんどではないだろうか。 ろう者が社内の会議への手話通訳を依頼しても、「秘密漏洩の防止」との理由から、通訳を拒むなどの問題は相変わらず後を絶たない。同条例は「合理的配慮の提供は企業の努力義務」としているとは言え、ろう者を雇用している以上、仕事の内容を伝える責任がある。「会議には出席。内容は知らせない」は、合理的配慮の欠如ではなく間接差別にあたる。県においては、様々な企業に対し、条例があること、また「手話通訳者には厳しい守秘義務がある」ことを啓発していただきたい。 ● 静岡県車椅子友の会 (1)就労   障害者差別解消法、改正障害者雇用促進法などに基づき、重度障害者の雇用を増やすための職場での合理的配慮の事例紹介や、差別を受けている人の相談窓口の充実などの社会への啓発を行っていただきたい。重度訪問介護等を利用している方の就労についてサービスの継続性を考えた制度設計としていただきたい。 (2)スポーツ施設等のユニバーサルデザイン対応   2020年東京オリンピック・パラリンピック開催まであと1年となっていますが、県内の観光施設・スポーツ施設では、いまだに電動車いすや手動車いすでの利用を制限している施設があります。スポーツなど余暇活動を充実することは静岡県差別解消条例でも謳っていることです。管理者の偏見で排除されていないか再点検を行い、車いす利用者が自由にスポーツ等を楽しめるよう図っていただきたい。また、障害者スポーツを気軽に体験し、普及啓発ができる障害者スポーツの拠点(聖地)を整備していただきたい。 (3)福祉避難所等の災害・防災対策   福祉避難所等で電動車いすの方など車いす利用者がどのような形で避難生活が出来るのか具体的な検証をお願いいたします。避難の仕方や避難所での支援の方法など具体的内容について当事者の意見を聞きながら再検討し県民に知らせていただきたい。UD仮設住宅を準備するなど、自宅で避難することをためらうことの無いよう、避難時の生活を安心して暮らせるようにしていただきたい。 (4)交通アクセス   車いすの障害者が利用する公共交通には、合理的配慮が出来ていないためのトラブルが起きています。事業者への理解を進めるための啓発セミナー開催などで交通事業者の理解を促進し、車いすの障害者が自由に行動できるようにしていただきたい。 ● 日本喉摘者団体連合会 静岡県静鈴会 (1)「人工鼻」日常生活用具給付の更なる拡大   人工鼻に関する助成制度について、助成を実施している自治体は拡大しています。県をはじめ市の担当の方々に人工鼻と喉頭摘出者との関係についてご理解をいただいたお蔭と、深く感謝申し上げます。のど元にあけた永久気管孔で呼吸する喉頭摘出者にとって人工鼻は、肺への負担を軽減し、気道を衛生に保つためには必要な器具で、全市町が対象品目に加えていただけること、また自治体によっては対象者に条件があり、給付を受けられない喉頭摘出者もいることなど、まだまだ地域によって支援の程度に格差が生じています。すべての喉頭摘出者が同一の助成制度を利用できるよう、更なるご理解ご助言をお願い申し上げます。 (2)災害避難所における支援   喉頭摘出者は外見からは障害者とわかりにくく、また喉頭摘出による音声機能障害という障害について認知度が低いため、災害時避難所でのコミュニケーションの取り方に不安があり、また、障害ごとに必要な支援・物資は異なります。 避難所を開設した場合、スタッフ、支援者の方々に障害に対する理解と、支援のあり方など共通認識をもってサポートしていただけるよう希望します。 ● 公益社団法人 日本オストミー協会 静岡県支部 (1)オストメイト使用装具の役所での保管制度   昨年から藤枝市、富士市で装具の保管を開始しました。大規模な災害に備えて各自が使用する装具を市役所に保管する制度ですが、県内の他の市・町でも実施の働きかけをお願いいたします。特に津波の被害が予想される市町については切にお願いいたします。   愛知県では既に多数の市町で制度化されております。 (2)オストメイトの身体障害者等級の見直し   現在は殆どのオストメイトが4級ですが、中には大変な苦労をしている同憂者がいます。   国の「障害程度等級表 解説」を見ますと、1級の該当者が多く存在しているように思われます。   また、自分で装具交換ができない方は、訪問看護ステーション及び看護職に交換をお願いしています。この方々は3級以上の対象者と考えられます。   これらの該当者に再認定申請ができるよう働きかけをお願いいたします。 (3)日常生活用具に係る給付金増額   給付金受給者の多くが年金受給者(会員の平均年齢74歳)であるため、生活費に占める装具費用の比率が高くなっており、給付金の増額をお願いいたします。 特に、イレオストミーの方は、他のオストメイトの2倍近い装具費用が掛かっています。 (4)オストメイトに関する情報提供   神奈川県では、ホームページでオストメイトに係わる活動等を紹介しています。静岡県でも同様な情報発信をお願いします。 ● 特定非営利活動法人 静岡県中途失聴・難聴者協会 (1)全国統一要約筆記者認定試験の県事業化(再掲)   平成23年度より当会が実施主体となり試験の実施をしています。全国での試験実施に合わせてスタートしました。要約筆記者認定試験は、県の派遣実施要綱に基づく要約筆記者の養成、登録、試験、派遣と一連の要約筆記事業の中で行われるべきものと考えています。すなわち、養成事業を実施する主体である県が本来的に責任を持って実施すべきものです。県としての「個人の資格取得に関することは、受験する本人の負担で」という考え方の下で、当会が過去8回にわたって実施しています。県事業としての養成・派遣事業を実施するにあたり円滑なる運用を図るために、静岡県中途失聴・難聴者協会が静岡県委託要約筆記事業委員会の協力も得て実施してきています。養成・派遣を実施の事業体事業として実施するように求めます。   (2)静岡県聴覚障害者情報センターへの言語聴覚士・認定補聴器技能者の配置(再掲)   聴覚活用を図るには営利を伴わない立場で関わる専門家の配置が求められます。また医療的側面では耳鼻科専門医の関わりも大切になります。教育的観点からは療育も大事です。福祉的観点からは増え続ける高齢者の補聴器を必要とする難聴者も増加の一途をたどっています。障害認定レベルの基準を世界的なレベル(WHOの基準)まで下げること(デシベルダウン)が必要です。また装用指導、訓練等も医療機関と連携できることも課題です。難聴者福祉充実をはかるうえでも最重点課題として取組んでいただきたい。 (3)増大する高齢難聴者への対応(再掲)   補装具(補聴器)の交付に対する県内各市町の担当者及び判定にかかる更生相談所、指定医師(団体)や言語聴覚士(団体)、及び補装具業者(認定補聴器販売店)とユーザー団体である当会との意見交換の場を設けて下さい。 (4)補聴器購入助成事業の拡大   18歳未満の軽度・中等度難聴児への補聴器購入助成事業を18歳以上の成人の難聴者への適用を求めます。 ● 静岡県腎友会 (1)CKD(慢性腎臓病)予防の予算増額   CKDから透析に移る患者を減少させるために、CKD予防の予算を増額して下さい。 (2)要介護透析患者の急増に対応した在宅サービス・施設の拡充   透析患者の重症化・合併症による、障害の重複化に伴う要介護透析患者の急増に対応する医療・福祉両面における在宅サービス及び施設を早急に拡充して下さい。 (3)高齢透析患者の増加に伴うホームヘルパーの増員及び施設の拡充等   高齢透析患者の増加に伴う、通院困難な透析患者や医療介護の必要な患者のためにホームヘルパーの増員・訪問看護施設の拡充及び通院介護並びに老健施設への入所を保障する体制を確立して下さい。 (4)透析患者に移行させないための啓発活動   糖尿病性腎症の予防対策並びに糖尿病性腎症や慢性腎臓病から透析患者に移行させないための啓発活動を今まで以上に実施して下さい。 (5)透析患者の医療費助成制度の継続   基本週3回の通院治療を要する透析患者の医療費の自己負担について、現在の障害者医療費助成制度を令和元年度以降も継続してください。 ● 社会福祉法人 静岡県身体障害者福祉会 (1)障害者差別解消法に関する施策の推進   公表されている全国の相談事例を見ると、特に事業者の理解が不十分であることは明らかです。引き続き、実効性のある施策を推進していただきますようお願いいたします。   また、「静岡県障害を理由とする差別の解消の推進に関する条例」は施行後3年目を迎え、施行の状況について検討を加え、必要な措置を講ずることを附則で規定しています。措置に至るまでの検討過程について、公表されるようお願いいたします。 (2)災害時における要支援者対策の徹底   自然災害が多発する中、地域での要支援者対策を確実なものとするため、細部までの点検を徹底されたく、市町への御指導等をお願いいたします。 (3)身体障害者相談員の委託   身体障害者相談員制度は平成24年度から市町村事業となり、交付税措置もされたと認識していますが、本県において身体障害者相談員を設置していない市町があります。   この制度は、身近な地域で当事者や家族の目線に立った相談援助を担う意味で、ピアカウンセリングとしての役割が期待された制度です。相談窓口がほかにもあることなどを理由に廃止することは、この趣旨を理解しないものと言わざるをえません。   身体障害者福祉法では、相談援助の委託が困難な市町村がある場合は、都道府県が委託できる規定がありますので、実情を調査のうえ、善処をお願いいたします。 (4)令和2年度日本喉摘者団体連合会中部日本ブロック発声訓練指導者研修会開催に対する支援(再掲)   音声機能障害者発声訓練については、静岡県の障害者社会参加促進委託事務として、静岡県静鈴会の協力を得て実施しているところですが、事業の一環として、特定非営利活動法人日本喉摘者団体連合会の中部日本ブロックで実施する指導者研修会に参加しています。この中部ブロック研修会は構成団体の持ち回りで開催されており、令和2年度は当県が開催することになっています。   ついては、令和2年度中部日本ブロック発声訓練指導者研修会に対する財政支援として、当該年度の委託費を増額していただきたく御配慮をお願いいたします。 (5)令和3年度日本身体障害者団体連合会関東甲信越静ブロック協議会会議開催に対する支援   関東甲信越静ブロック協議会は、11都県身体障害者団体と5政令市身体障害者団体で構成されている協議会で、情報交換をはじめ、国や域内自治体の障害者施策に対する改革・改善のための協議・提言を行っています。   会議は構成団体の輪番で春季と秋季の2回実施しており、本県は令和3年秋に開催することになっています。   ついては、開催費用に対する財政支援について御配慮をお願いいたします。