要  望  書 ● 公益社団法人 静岡県視覚障害者協会 (1)踏切における安全対策の実施 国土交通省により、道路の移動等円滑化に関するガイドラインの改定〜踏切道での安全対策〜が令和4年6月9日に発出されました。改定に至った経緯として、本年4月の奈良県での視覚障害者が踏切内で列車に接触し亡くなった事故の発生があり、本県でも昨年度、視覚障害者が電車との接触により死亡する事故が発生している。ガイドラインに基づいた対策を道路管理者、鉄道業者に対し早急な対応を求める旨を県として働きかけていただきたい。 (補足説明) ・踏切手前部での視覚障害者誘導用ブロックの設置を標準的な整備内容 ・踏切内での表面に凹凸のある誘導表示等の設置を望ましい整備内容 として位置付けられた。 (2)日常生活用具の給付に関する県ガイドライン改定について 現在、県内においても弱視者の数が増えており、読書バリアフリー法に基づいた対応が急務であると考えられるため、視覚障害者用ポータブルレコーダーの支給対象を現状の身体障害者手帳2級以上から3級以下の弱視者も対象となるようガイドラインの改定をお願いしたい。 (補足説明) 本会で開催している中途視覚障害者生活相談会において、相談が寄せられた。具体的な商品名として、プレクストーク(デイジー図書読み上げ装置)を使用することで弱視者の読書環境の改善を図れるが、市町では県のガイドラインに沿って交付対象を決める場合が多く、改定と共に働きかけをお願いしたい。 (3)重度障害者等就労支援特別事業 令和2年10月1日から施行されており、前年度の要望として、国の指針に沿った市町への指導の徹底をお願いしたが、県内での実施は未だ1市のみで、全国56カ所で実施されている現状を鑑みると本県の掲題事業に関する認知度が低いと言わざるを得ない。そのため、県として各市町への今後の指導方針を明確に示していただきたい。 (補足説明) 地域生活支援促進事業の枠組みで実施されているため、実績が伴わなければ事業予算の打ち切りに繋がる恐れがある。また、本事業の実施は視覚障害者の就労促進に繋がるため、コロナ禍で生活が困窮している個人事業主等にも救済と成り得る。 (4)静岡視覚特別支援学校の併置問題 令和8年4月に開校予定の新特別支援学校は、現静岡視覚特別支援学校に知的特別支援学校を併置する形で計画が進んでいるが、学校名を変更せず維持したい。また、研修センターの設置についても県教育委員会に提出しているが、これについて、県健康福祉部に障害者福祉の観点から、必要性の理解とお力添えをお願いしたい。 (補足説明) 研修センターの設置は、ICTに対応した視覚障害あはき師の育成と卒後間もない新人あはき師のスキルアップを図るための研修を行える場の確保。国家試験を再受験するための予備校的役割を担うセンターとして、現状の教育問題に関する課題解決のために必要不可欠である。 (5)県内福祉サービスの地域間格差是正について 市町における行政機関窓口の担当職員に対する教育の徹底と福祉サービス内容の理解、障害種別毎の制度対応を詳細に行えるよう、また、県内の市町における格差を是正するために県の指導を徹底していただきたい。 ● 公益社団法人 静岡県聴覚障害者協会 (1)静岡県内の報道番組への手話通訳・字幕の付与 高齢社会となり、今や国民の10%に当たる1,000万人が聞こえに何らかの不便さを感じていると言われる時代になったが、聴覚に障害がある人たちは、ローカルニュースなど地域の情報番組に字幕が付いておらず、身近な話題を知ることができない。全国的なテレビ番組は字幕の付与が進められているが、県内の報道番組において手話・字幕の導入が進まない。 緊急時・災害時において、ろう者にとってもテレビは大事な情報源である。聴覚に障害のある県民にも情報が行き渡るように日ごろから番組への手話・字幕導入を行うよう、県からテレビ局に対する働きかけをお願いしたい。 また、2019年度から県議会のインターネット中継に手話通訳者が導入されている。2020年度からは県知事会見に手話通訳が付与されYouTubeで見ることができるが、ニュースでは手話通訳者は映されないことが多い。知事と手話通訳者を同時に映すよう報道機関に周知をお願いしたい。 (2)障害者差別解消法及び県障害者差別解消条例の周知 平成28年障害者差別解消法、29年には県の障害者差別解消条例が施行された。令和3年には障害者差別解消法が改正され、行政だけでなく民間事業者にも合理的配慮の提供が義務となった。また、法改正に合わせ、県条例の改正も行われる予定との報道もある。今までの障害者への差別的な扱いについて、政策課が窓口になったことで行政による調査や指導が行われるようになったことは、障害者が暮らしやすい環境を整備することに大きな役割を果たしている。しかし、まだまだこの条例を知らない事業所がほとんどではないだろうか。 ろう者が社内の会議への手話通訳を依頼しても、「秘密漏洩の防止」との理由から、通訳を拒むなどの問題は相変わらず後を絶たない。ろう者を雇用している以上、仕事の内容を伝える責任がある。「会議には出席。内容は知らせない」は、合理的配慮の欠如ではなく間接差別にあたる。県においては、様々な企業に対し、条例があること、民間においても努力義務から義務に変更されたこと、また「手話通訳者には厳しい守秘義務がある」ことを啓発していただきたい。 (3)障害当事者が他市町で手話通訳者を必要とした場合の取り扱いの統一について このところ、オリンピック・パラリンピックをはじめ、政府会見、気象庁会見、県知事会見など様々なところで手話通訳が付与され、手話で生活するろう者への理解が少しずつ広まっている。 ろう者が依頼を受けて居住地以外の市町で手話を教える場合、手話通訳料は主催者負担となっているが、ボランティア団体などは通訳料の支出は困難であり、市町の意思疎通支援事業を適用することが多い。しかし、一定のルールがなく、ケースによってはろう者から「他市町への派遣がなされない場合がある」との相談が寄せられることがある。 居住地域外の市町での手話通訳派遣については、ケースに関わらず柔軟な対応をお願いしたい。そのために、県が市町に考え方を示すようお願いしたい。 (4)手話通訳派遣制度の拡充について 静岡県では、聴覚障害者団体主催の行事に手話通訳の派遣を行なう制度がある。しかし、まったく予算を持たない障害者団体が複数集まる会議に当協会が出席を希望したところ、当時の県障害福祉課から「静聴協が主催でないため派遣不可」との方針を伝えられた。 民間企業や各種団体には「手話通訳の派遣費用は企業が負担すべき」との考え方が浸透している一方、県は障害者団体の任意の集まりには派遣しない。ろう者は社会参加ができず、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法の理念に反している。 東京都においては、公益性が高いと認められる集会などに手話通訳の派遣が認められている。静岡県においても同様の制度があれば、聞こえに不自由を抱えているろう者たちも様々な情報を得ることができる。現行の制度の見直しをお願いしたい。 ● 静岡県車椅子友の会 (1)就労について 障害者差別解消法、改正障害者雇用促進法などに基づき、重度障害者の雇用を増やすための職場での合理的配慮の事例紹介など啓発を促進していただきたい。また重度訪問介護等福祉サービスの利用している方の就労について、サービス利用した就労を進めていただきたい。 (2)災害・防災対策について 近年は災害等により避難する状況が増えています。福祉避難所など避難場所について車いすの人でも安心して避難できる場所として再点検していただきたい。福祉避難所等でトイレが使えない、使用できない車いすを備品としている施設もあり、非常時に不安となります。定期的な点検をしていただきたい。 (3)交通アクセスについて 車いすの障害者が利用する公共交通には利用できない駅があるなど、利用に制限を受けている箇所がまだ多数あります。それが常態化しないよう事業者への理解を進めるための啓発を促進し、車いすの障害者が自由に行動できるようにしていただきたい。 ● 公益社団法人 日本オストミー協会 静岡県支部 (1)日常生活用具に係わる給付金額の増額 ロシアのウクライナ侵攻以降、原材料始め輸送コスト等の負担増により、日常生活用具(ストーマ装具)についても購入費が値上がりしています。 我々オストメイトは装具が無ければ健常者と同等の生活をすることは出来ません。 過去、この問題に関しては国・県に何回となく要望してきましたが実現できていません。 厚労省の回答は、日常生活用具給付等事業実施主体である県市町にその判断をゆだねているとの回答であります。 令和2年2月に、県下市町に値上げの要望文書を提出しました。 その結果として、一部市町では、オストメイトの厳しい現状を理解しつつも、当該市町だけで対応するのは難しいとの回答でした。 要するに、県のお墨付きを頂きたいとのことだと思っています。 当協会本部にて、昨年度、オストメイトに関わる全国代でのアンケート調査を実施し、その結果が間もなく判明することと思います。 その結果が、県が求めている利用実態に添うものかは不明ですが、それと平行して、県の主導による実態把握等の調査を早急に市町に働き掛けて頂きたいと思います。 消費税は、現基準額改定後、何回も値上げされています。 県下のオストメイトの大部分が年金生活者です。 県の更なるイニシチアブにより早期に給付金が増額改正されますよう強く要望します。 (2)介護施設等におけるスト−マ交換が出来るヘルパー等の養成について 今年度は、全身性介障害者移動介護従業者養成研修会にて、オストメイトの現状等を説明させて頂きました。このような機会を与えて頂き感謝しております。 高齢化が進む中、一番の課題が介護現場におけるストーマケアであります。 今年度は中止になりました県委託事業「居宅介護職員初任者研修」の再開を切に要望いたします。 (3)旅館等への入浴着の設置について 厚生労働省のホームページに「入浴着を着用した入浴にご理解をお願いします」と、以下の内容で公開されています。 公衆浴場、旅館・ホテルの浴場、サウナなどでは、乳がん手術や皮膚移植などの傷あとをカバーする専用入浴着を着用したまま入浴することができます。浴場施設をご利用される際、皆様のご理解をお願いいたします。 【入浴着とは】 乳がんや皮膚移植の手術により傷あとが残った方が、周囲を気にすることなく入浴が楽しめるように、傷あとをカバーするために開発・製造された専用の入浴肌着です。入浴着を入浴直前に着用し、浴槽に入る前には付着した石けんをよく洗い流すなど、清潔な状態で使用される場合は、衛生管理上の問題はありません。(厚生労働省 医薬・生活衛生局 生活衛生課) 我々オストメイトも乳がん患者と同様、一番の苦痛は入浴です。 旅行等の楽しみである入浴。本来ならば、大浴場を利用したいが実現出来ないのが実態だと思います。 その理由として、オストメイトに対する理解(装具を付けている理由と装具から便・尿が漏れる等)が十分で無いため、入浴すると施設側、または入浴者から何か言われるのでは無いかと常に不安を持っています。 このため、旅行等で入浴する場合は、深夜他の人がいないか確認して入浴する者が大部分です。 これらの事情から、一般健常者と同じように大浴場で入浴できるように「入浴着」の設置を特定旅館等に働きかけをして頂きたいと思います。 ● 日本心臓ペースメーカー友の会 静岡県支部 (1)「情報を発信する友の会活動」への支援協力について これまで、会員相互の交流会や顧問の医師との懇談を中心に活動してきました。しかし、会員の高齢化やコロナ禍により、会員の減少がさらに進んできています。また、3年後の静岡県支部創立50周年の記念事業も加わり、大きな不安を抱えております。そこで、友の会会員の家族や友人、さらには、非会員のペースメーカー埋め込みの方々との交流活動や情報を発信する活動に取り組むことが新たに求められると考えました。 これらの活動を推進するために、次の支援を要望します。 @ 講演会を通して家族、友人等へと対象を広げ、会として発信していくために、講演会開催費用の援助をお願いしたい。 A 会員相互の情報交換や情報収集のために、タブレット等、早急に必要となる機器の配布あるいは広報費の交付をお願いしたい。 B 補助金申請手続き等の際に、Zoomによる相談ができるように要望したい。 ● 特定非営利活動法人 静岡県中途失聴・難聴者協会 (1)難聴社会に対する静岡県の取組として、障害者手帳非所持の聞こえに不自由な方への補聴器購入補助を条例化で創設してください。 ・軽度・中等度難聴者(18歳未満)への補聴器交付事業を拡大してください。 ・増大する高齢難聴者や障害者手帳を取得できない、聞こえに不自由な方々への補聴器購入助成制度を創設ください。通信販売等、対面でない通信販売で補聴器・集音器等を購入し、1、2回装用して、諦める方が大変多いのが現状です。 (2)「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法の施行に絡めた県の取組を進めてください。 障害者基本法に定義される「聞こえに不自由な方々」への施策推進を図ってください。 当事者が参画できるよう進めてください。 ・県・市町の首長会見等への字幕付けを進めてください。 ・補聴器の啓発や補聴援助システム(ヒアリングループ等)の設置・試用可能な環境を整えてください。 ・補聴援助システム利用の拡大をはかってください。 ・要約筆記者養成のための予算を増額してください。 ・要約筆記者の認定試験・事務等、県予算を付けてください。 (3)障害者差別解消法の改正により民間も合理的配慮の義務化となりました。これを更に推し進めていただきたい。 ・職場での合理的配慮を進めるための関係部署等への理解と啓発を進めてください。 ・県内企業、商工会議所、商工会等での障害者雇用推進のための障害者理解と啓発を図ってください。 (4)補装具費交付にかかる県の相談窓口には、支給対象者への理解ある職員の配置と交付に関わる県内市町担当職員、指定医師、業者(認定補聴器販売店・認定補聴器技能者)や当事者団体を含めた情報交換できる場を設けてください。 (5)障害者権利条約、障害者基本法における障害の定義を障害者総合支援法、身体障害者福祉法に規定する障害認定基準を改正し、正しく運用できるよう、県議会で決議し、国に認定基準改正を強力に働きかけていただきたい。 ● 静岡県腎友会 (1)CKD(慢性腎臓病)予防の予算増額 CKDから透析に移る患者を減少させるために、CKD予防の予算を増額してください。 (2)要介護透析患者の急増に対応した在宅サービス・施設の拡充 透析患者の重症化・合併症による、障害の重複化に伴う要介護透析患者の急増に対応する医療・福祉両面における在宅サービス及び施設を早急に拡充して下さい。 (3)高齢透析患者の増加に伴うホームヘルパーの増員及び施設の拡充等 高齢透析患者の増加に伴う、通院困難な透析患者や医療介護の必要な患者のためにホームヘルパーの増員・訪問看護施設の拡充及び、通院介護並びに老健施設への入所を保障する体制を確立して下さい。 (4)透析患者に移行させないための啓発活動 糖尿病性腎症の予防対策並びに糖尿病性腎症や慢性腎臓病から透析患者に移行させないための啓発活動を今まで以上に実施して下さい。 (5)透析患者の医療費助成制度の継続 基本週3回の通院治療を要する透析患者の医療費の自己負担について、現在の障害者医療費助成制度を令和4年度以降も継続してください。 ● 社会福祉法人 静岡県身体障害者福祉会 (1)障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法の啓発・推進 障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の基本となる事項を定めること等により、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策を総合的に推進するため、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法が5月に施行した。 国及び地方公共団体による啓発や推進を速やかに進めていただきたい。 (2)障害者差別解消法における合理的配慮に伴うバリアフリー化の費用に対する県の助成措置の新設 合理的配慮に伴うバリアフリー化を民間事業者に一層推進してもらうために、県による助成制度又は助成する市町への支援策を新設していただきたい。 (3)身体障害者手帳交付申請書の様式改正に係る国への要望 これまで、身体障害者の情報提供について各方面に要望してきたが、個人情報保護法の壁は高く、一向に埒が明きません。今後は、個人情報の提供について本人の同意を得る方法についても検討していく必要があると考えます。 身体障害者手帳交付申請書に、地域の身体障害者相談業務等を担う身体障害者団体への情報提供に係る本人の同意書欄を追加するため、身体障害者福祉法施行規則第2条第2項で規定する別表第二号様式の改正を国に要望していただきたい。