音訳通信
                                 


No.50 2007年12月1日発行
静岡県点字図書館音訳

視覚障害者の情報保障に関する最近のニュースをご紹介します。
1)著作権法の改正
 19/7/1から視覚障害者向け録音資料の公衆送信が可能となりました。これまで点字図書館等身体障害者福祉法で規定された施設での録音図書製作に著作権許諾が不要な事はご存じの通りですが、製作したデータをインターネットで送信するには新たに著作権をとる必要がありました。今回の改正により、音声データの送信も可能になりましたので、「びぶりおネット」が更に進展すると期待できます。
 「近年、視覚障害者が得ることのできる情報源は、点字本から録音図書に大きく移行しており、視覚障害者の多くが録音図書を必要としていること、そして、情報格差をなくすという観点から、今回の改正により、視覚障害者情報提供施設等が、専ら視覚障害者の利用に供するために録音図書をインターネット送信することについて、権利者音声化許諾を要することなく認めることとされました。」           文化庁ホームページ

2)選挙公報音声版の発行
 19/7/29の参院選比例区で初めてテープ版選挙公報が発行されました。音声版はこれまで製作されていませんでしたが、今回初めて合成音声での製作となりました。次の衆院選は肉声で録音される予定です。

3)障害者権利条約への署名
 19/9/28(日本時間29日) 高村外相が国連で「障害者権利条約」に署名しました。これは障害者への差別撤廃と社会参加の促進を求める人権条約で、アクセシビリティを容易にするためのサービス(ガイド、朗読者、手話通訳者など)や公の対話における手話、点字、拡大、代替コミュニケーションなどの手段についてもふれられています。

 4)テレビ放送と通信のバリアフリー化
 総務省U−Japan構想では、2010年の次世代ICT社会をめざして、字幕番組・解説番組等制作費の一部助成、視聴覚障害者向け番組の放送努力義務化、字幕放送普及目標の策定、進捗状況の公表を推進しています。しかし、テレビの副音声放送はNHK総合で3%台とまだまだ低いのが現状です。  総務省の施策ではありませんが、映画に副音声をつける活動も広がり始めています。

 5)コミュニケーション支援事業の推進
 18年10月に全面施行となった障害者自立支援法のコミュニケーション支援事業。当初、「視覚」は対象として明記されていませんでしたが、全視情協等の働きかけによって、「視覚その他の障害」や「点訳・音声訳による支援事業」の文言が加わりました。これによって講演会等に手話通訳がつくように、視覚障害者のための「代読者(視覚情報をその場で音声化する人)」が配置されたり、ガイドヘルプの際にその場で配布された資料を音訳する等、音訳者の活動の場が大きく広がると期待されます。


音訳勉強会
日時:月)12/3 1/7 2/4  金)12/14 1/11 2/8
13:00〜15:00
会場:5階生活訓練室

ブックレット反省会
平成18年度講習会を受講した7名の内、5名のブックレットが12月の新刊目録で発表されます。あと2名もまもなく完成です。実習生の皆様お疲れ様、おねえさん及び校正の方々ご指導ありがとうございました。
 「おねえさん+校正者」と「実習生」にわけて、以下の日程で反省会を開きます。来年に向けての提案等お聞かせください。
日時:12/6(木)10:00〜12:00
対象:おねえさん+ブックレットの校正者
 
日時:12/11(火)10:00〜12:00
対象:実習生(18年度講習生)
会場:両日とも、5階生活訓練室
   
デイジー編集員研修会
日時:12/18(火)10:00〜12:00
会場:5階生活訓練室
対象:デイジー編集員

口中音対策
デジタル録音になって、口中音の悩みを耳にすることが多くなりました。ここ数年で音訳者が急に高齢化、したのではなく、カセット録音ではテープヒスにまぎれて聞こえなかった口中音が目立つようになったのでしょうか。 決定的な解決方法はみつかりませんが、幾つかをご紹介します。試してください。またこうすると効果的という対策がありましたら、お知らせください。
 ・録音前30分間は飲食しない(特に糖分は食べない、飲まない)
 ・ノドを潤す程度に水を少し飲む
 ・マイクをできるかぎり、口からはなす
 ・マイクを口の前ではなく、横におく
(音量が小さくならないようにご注意)

処理のヒント その3 〜ルビの処理〜
 ルビは次の順序で検討してみてください。
1)ルビのみ読むか、語句も読むか
2)語句も読むなら、ルビと語句のどちらを先に読むか

1)ルビのみ読むのは
 @「正ルビ」:「正ルビ」とは、その漢字を正しく読ませるもので、辞書に掲載されています。たとえ難しい漢字であっても語句の説明は不要です。
例:御威稜(ミイツ) 鹿尾菜(ヒジキ) 膳所焼(ゼゼヤキ)
 A熟字訓:漢字2語以上につけられた和語の読み「熟字訓」もルビのみ読みます。
例:私語(ササヤキ) 一昨日(オトトイ) 土産(ミヤゲ)
 B熟字訓に準ずる和語のルビ:これも一般的にルビのみ読みます。
例:生活(クラシ) 身体(カラダ) 宿命(サダメ)
C略ルビ(場合によって):以上とは別に、著者が読ませたいルビが「略ルビ」です。これが処理の対象になりますが、前後の文章から意味がわかる時はルビのみ読みます。
例:徳利を片手に声をかけた。「ねえさん、熱い酒(ノ)をもう一杯もってきてくれ。」 

2)ルビと語句を読む場合:一般的にはルビを先に読みますが、ルビが補足を表している場合は、語句を先に読みます。『処理事例集』のp.35方法4はその例です。
例:この冬、テレビゲームを買うと、新渡戸稲造(ゴセンエン)が返ってくる。

ボランティア活動保険
 ボランティア活動中の様々な事故や怪我を補償する「ボランティア活動保険(全国社会福祉協議会)」のご案内です。更新、新規加入について検討しておいてください。
 期間:1年間(20/4/1〜21/3/31)
 掛金:¥280。図書館で¥180負担しますので自己負担は¥100となります。
 申込期間:2/4(月)〜3/3(月)

表彰
第49回静岡県身体障害者福祉大会において古牧律子さんが感謝状を受けられました。おめでとうございました。

 
装備・チェック
日時:2/19(火) 10:00〜12:00
会場:小会議室

 
年末年始休み・月末図書整理日のお知らせ
  録音室・スタジオ:12/28(金)〜1/4(金)
  貸出し:12/25(火)〜1/7(月)
  図書館:12/29(土)〜1/3(木)
  図書整理日:1/30 2/27(最終水)



「音訳通信」発行:年4回(3/1 6/1 9/1 12/1)
文責:熊谷成子

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