視覚障害者の情報保障に関する最近のニュースをご紹介します。
1)著作権法の改正
19/7/1から視覚障害者向け録音資料の公衆送信が可能となりました。これまで点字図書館等身体障害者福祉法で規定された施設での録音図書製作に著作権許諾が不要な事はご存じの通りですが、製作したデータをインターネットで送信するには新たに著作権をとる必要がありました。今回の改正により、音声データの送信も可能になりましたので、「びぶりおネット」が更に進展すると期待できます。
「近年、視覚障害者が得ることのできる情報源は、点字本から録音図書に大きく移行しており、視覚障害者の多くが録音図書を必要としていること、そして、情報格差をなくすという観点から、今回の改正により、視覚障害者情報提供施設等が、専ら視覚障害者の利用に供するために録音図書をインターネット送信することについて、権利者音声化許諾を要することなく認めることとされました。」
文化庁ホームページ
2)選挙公報音声版の発行
19/7/29の参院選比例区で初めてテープ版選挙公報が発行されました。音声版はこれまで製作されていませんでしたが、今回初めて合成音声での製作となりました。次の衆院選は肉声で録音される予定です。
3)障害者権利条約への署名
19/9/28(日本時間29日) 高村外相が国連で「障害者権利条約」に署名しました。これは障害者への差別撤廃と社会参加の促進を求める人権条約で、アクセシビリティを容易にするためのサービス(ガイド、朗読者、手話通訳者など)や公の対話における手話、点字、拡大、代替コミュニケーションなどの手段についてもふれられています。
4)テレビ放送と通信のバリアフリー化
総務省U−Japan構想では、2010年の次世代ICT社会をめざして、字幕番組・解説番組等制作費の一部助成、視聴覚障害者向け番組の放送努力義務化、字幕放送普及目標の策定、進捗状況の公表を推進しています。しかし、テレビの副音声放送はNHK総合で3%台とまだまだ低いのが現状です。
総務省の施策ではありませんが、映画に副音声をつける活動も広がり始めています。
5)コミュニケーション支援事業の推進
18年10月に全面施行となった障害者自立支援法のコミュニケーション支援事業。当初、「視覚」は対象として明記されていませんでしたが、全視情協等の働きかけによって、「視覚その他の障害」や「点訳・音声訳による支援事業」の文言が加わりました。これによって講演会等に手話通訳がつくように、視覚障害者のための「代読者(視覚情報をその場で音声化する人)」が配置されたり、ガイドヘルプの際にその場で配布された資料を音訳する等、音訳者の活動の場が大きく広がると期待されます。
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