音訳通信
                                 


No.54 2008年9月1日発行
静岡県点字図書館音訳

視覚情報の音声化
 来年5月から裁判員制度が導入されます。それに向けて7月17〜18日、視聴覚障害者が参加する模擬裁判が東京地裁で開かれました。視覚障害者向けに選任手続きの書類を点字化するなど、最高裁は一定の対応を取ることを決めていますが、法廷の審理は口頭でのやりとりを前提とするようです。
 ここで要求されるのは、目に見える場景を正確に客観的に言葉で伝えることです。まさに音訳の図表や写真処理のスキルです。情報のバリアフリーをめざして、墨字の音声化だけではなく、すべての視覚情報の音声化技術も磨いていきたいものです。
 それにしても、文章化できる裁判上の資料は音訳、点訳してもらいたいものですが・・・



音訳研修会
日時:12/5(金)13:00〜16:00
会場:集会室
講師:恵美三紀子先生(音訳講師 元全視情  協録音委員長)
対象:音訳奉仕員全員 
内容:音訳表現技術〜聞き取りやすく、内容をしっかりと伝える表現技術を勉強します
出欠〆切:11/7(金)

*静点奉仕員以外で参加希望の方はご連絡ください

音訳勉強会の報告
・静岡アクセントと共通語アクセント
 静岡に特有のアクセントを集めた例文(作成:内山佐智子さん)を使って共通語アクセントとの違いを再確認しました。  両者の違いが顕著なのは、3拍の動詞(食べる できる 生きる等)、2拍の名詞(父 姉 風呂等)、3拍の名詞(試験 予算等)です。 

例文の一つをご紹介します。
 静岡県内から広く60歳以上の方を募集し、4月と12月1月の第3日曜日福祉に関する講習会が市役所で開かれます。午前は講義、午後は実習です。実際の現場で通用する技術習得が目的です。なお参加費は県の予算から補助されます。      (太字のアクセントに注意)


・イッコクとイットキ
 時代小説に頻出する「一刻」。ルビがあればルビ通りに読みますが、ない場合は「イッコク」か「イットキ」か読み分ける必要があります。おおざっぱに、2時間を意味するなら「イットキ」、30分なら「イッコク」です。なお「イットキ」と読ませたいために、本来「一刻」と書くべき所を「一時」と書く事もあるようです。

 『広辞苑』によれば、
 一刻(イッコク)は昔の一時(ヒトトキ)の四分の一。約30分。一時(イットキ)は今の2時間に当る。

 『大江戸ものしり図鑑』によれば、
 一日は十二刻(トキ)で一刻(イットキ)は今の2時間。

『時代風俗考証事典』によれば、
 「丑の刻参り」はウシノ「トキ」マイリで、丑のトキは、午前一時から三時までの一とき、現在の二時間。丑のコクは午前二時を意味する。    (資料調査 河村篤郎さん)

音訳勉強会
次回は
第2火曜日グループ:9/9 10:00〜12:00
第4水曜日グループ:9/24 13:30〜15:30   
製作中のデータと『NHKアクセント辞典』をお持ちください。

デジタル録音及びデイジー編集関連のお知らせ
1)デイジー編集の工夫〜付属DVDの音声取り込み〜
デイジー図書を楽しくする工夫がもう一つ増えました。今回発表した『天才脳の作り方』には付属DVDがあり、墨字にはない情報もあります。そこで、この情報も提供したいと実験開始。音声取り込みに成功しました。
 @2台のパソコン、1対1のラインコード、オーディオインターフェイスを用意します。
 A出力側パソコンにDVDをセットし、ヘッドフォンの口にラインコードを差します。
 B入力側パソコン(PRS Pro)にオーディオインターフェイスを接続し、マイクの口にラインコードを差します。
 C入力側パソコンはPRS Proの新規作成画面でコントロール→録音ボリュームコントロールの選択→ライン入力を選択
 DPRS Proの録音をクリックし、DVDを再生します。
 E音声入力が終わったら、フレーズを適宜分割し(かなり長いフレーズで入力されます)、必要なコメントを新たに録音します。
 F原本を音訳したデータの該当箇所にこのデータを挿入してできあがりです。 

この方法は、CD付の語学テキスト等にも応用できそうです。

 2)雑音対策
 静電気が原因の雑音にライオン「エレガード静電気防止スプレー」が有効との情報がありました?!? ただし、スプレーする時は録音室内ではなく、外の広い場所でどうぞ。

お願い
何度も同じお願いで恐縮ですが、より良い録音図書をより迅速に製作するために次の点に今一度注意を向けてください。

・タイトルを明確に
 タイトルは本の顔です。CDを再生して最初に耳にはいってくる言葉です。不明瞭であったり、おざなりであったりでは読書の意欲が挫かれてしまいます。「おもしろそうだ。読みたい」という意欲をもっていただけるよう、丁寧に明確に発音してください。

・枠アナウンス
 枠アナウンスの内容や順序は、録音前に『枠アナウンスマニュアル』でご確認ください。  出だしは書名、副書名、シリーズ名、著者名の順です。これ以外の情報が書かれていても読みません。著者名に付いている肩書き等も出だしでは不要です。書名、副書名、シリーズ名、著者名は表紙をそのまま読むのではなく、「デイジー編集仕様書」に合わせてください。

・もう一度聞き返しを
 読みづかえ、消し忘れがないか、もう一度聞き返しをお願いします。聞き返しがきちんとできていると、校正もモニタも早く進みます。



校正表より  9月1日に発表した完成図書の校正表から誤読の幾つかを記します。
   漢字   読み違い   正
凄絶  そうぜつ  せいぜつ
一世一代  いっせいいちだい  いっせいちだい 
抗い  さからい  あらがい 
花穂  はなほ  かすい 
戒める  いさめる  いましめる 
児物語  こものがたり  ちごものがたり 
総帥  そうし  そうすい 
呆然  あぜん  ぼうぜん
血塗れ  ちぬれ  ちまみれ 
北里大学  きたざとだいがく  きたさとだいがく 
PHP(ピーエイチピー)研究所  けんきゅうじょ  けんきゅうしょ 


表彰
鉄道弘済会第38回「朗読録音奉仕者感謝の集い」において杉山志寿子さんが東海地区の校正者表彰を、第50回静岡県身体障害者福祉大会において青嶋登世さんが感謝状を受けられます。おめでとうございます。
   

装備・チェック
 8/20はご協力ありがとうございました。新規製作デイジー38タイトル、遡及テープからのデイジー15タイトルが完成しました。
 また、19年度に講習会を終了した6人全員のブックレットも完成し、新刊目録に載せることができました。実習生(石田かづ代 柏木久美子 滝井文子 仲田茂子 服部憲子 村澤公子)の皆様、お疲れ様でした。  おねえさん、校正の皆様ご指導ありがとうございました。
次回の装備・チェックは、
 11/20(木)10:00〜12:00 小会議室です。

月末図書整理日
毎月、最終水曜日は図書整理日です。留守電になっていますのでご注意ください。
月日:9/24 10/29 11/26 
録音室、スタジオは通常通りですが、電話が留守電になっています。
    


「音訳通信」発行:年4回(3/1 6/1 9/1 12/1)
文責:熊谷成子

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