山登りの思い出と、焼きうどん。(2008年 2月17日)



山登りの思い出と、焼きうどん。(2008年 2月17日)
CATSの皆さん、おはようございます。
 静岡の西川です。
 先週より、今年一番の寒さが続いているとか…。
どうりで寒いはずですね。
 でも、庭の梅も咲きそろい、日差しも強くなって日一日と春がちかずいているのを感じます。
 皆さんのところではいかがですか。
 さて、
 食べ物と、山登りの思い出です。
 それはずっと昔のことです。
季節は、たしか今ごろだったかな?…。
とても寒い日でした。
 友達と二人で興津川の山奥に山登りに出かけたときのことです。
それは、静岡県と山梨県の県境の樽峠(タルトウゲ)と、高ドッキォー(たかどっきょー、1134メートル)という山の思い出です。
当時ガイドブックを見ていて、その峠の雰囲気の良さと、山の名前のおもしろさ、頂上からの富士山の眺めの良さにひかれて、友達と誘い合って出かけました。
 その日の朝は、とても寒い朝でした。
東海道線の興津駅で降りて、興津川上流の山の手線のバスに乗り継いで、山合いに向って行くと、
周りの畑けや、家の屋根はまるで雪が積もったように霜で真っ白だったのを憶えています。
 終点の板井沢の集落で降りたち、樽という小さな村を経て明るい沢に沿って登ること約2時間ほどで樽峠につきました。
 峠は、明るくひらけていて1本の木の下には小さなお地蔵さんが安置されて、とても情緒たっぷりの良い雰囲気でした。
 峠からは、むかいがわの山の上に半分だけちょこっと覗いていた雪をかぶった富士山がとても印象的でした。
 峠からタカドッキョーへの山道は、明るいカヤトの県境の稜線を登ること
ふた汗も、み汗もかく頃やっと頂上に辿りつくことが出来ました。
 天気にめぐまれて、頂上からの眺めは、山梨県側の毛無し山から愛鷹山(あしたかやま)
それに伊豆半島、駿河湾まで一望でき、そしてもう、裾野までさえぎることのない富士山の姿に感激しました。
山の上では、日だまりをさがしておにぎりを食べたり、固形燃料を使って雪を溶かして紅茶を湧かして飲んだ後は、二人で大喜びして雪合戦をしたり時間が過ぎるのを忘れてしまいました。
 下り道は元来た樽峠から反対側の山梨県側に下ることにしましたが、下るに連れてだんだん日が暮れて、頂上でのんびりし過ぎたことが、後から悔やまれました。
やっとの思いで、林道に立ち降りる頃にはすっかり日も暮れてなんと心細くなってしまったことやら。
 とぼとぼと林道を辿ること二人とも無口になってしまったころ、地獄に仏とはあのことでしょうか…。
遠く山の上のほうから車の音が聞えてきたのです。
 先ほどまで無口になっていたことを忘れて、近ずいてくる車に夢中になって手を振ると、
林業帰りのそのトラックのおやじさんは、もう遠くから二人を見つけていてくれたようでした。
おやじさんと、登ってきた山のことや、どこからきた。
こんな話をしながら富士川の土手まで載せてもらうことが出来ました。
 広い富士川の河原に降りたつと、冷たい風が吹いていました。
向井側の井手の駅までは河原の中の道を歩いたり、
人がやっとすれちがえるだけの掛け橋を、風に飛ばされないように渡ったりして、
やっとの思いで辿りつくとそこには、対岸の上に身延線の井手の駅がありました。
 周りはもうすっかり暗くなり、お腹はもうペコペコです。
やっと辿り着いた駅舎のあかりが、なんとも懐かしくそしてまぶしく感じたことやら。
 駅に付くと、次の電車まで大分時間があったので、電車を待つ間、駅の近くに見つけた赤提灯に早速飛び込みました。
小さな店に入ると、中年のおばさんがにこにことえがおで迎えてくれたのを憶えています。
 そこは、いかにも田舎の場末の赤提灯っといった感じで見瀬の真ん中に鉄板焼用のテーブルが置いてありました。
おばさんが、冷え切った二人を見て、ちょっとだけよっと
こっそり茶碗にお酒をすすめてくれたので、もうすっかり上機嫌になってしまいました。
 そして、目の前の鉄板で、ラードをジュージューと溶かして、肉も入らないキャベツと、オカカを振りかけただけの醤油味の焼きうどんを焼きあげてくれました。
 こうばしくあっさりとしたその素朴な味は今でも忘れられません。
育ちざかりのあの頃、何を食べても美味しかったのに、あの焼きうどんの味だけは今でも忘れることがありません。
やがて乗った電車は、スキー帰りの乗客で満員でした。
疲れて富士の駅までつり皮に揺られて帰ったのを今でも思い出します。
 先日、CATSの打ち合わせが終えた帰り道、遅くなったので夕食にしました。
その時、店で出されてきた具たくさんのいまふーの焼きうどん。
どんなにトッピングで盛られても…。
 どんなに美味しくても、あの時の、身延線の井出の駅前で食べたおばさんの醤油味の焼きうどんにはかないません。
 うどんを食べながら、こんな昔の話に大笑になりました。

 皆さんは、どんな思い出がありますか。
2月17日 西川


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