チャイルド・ライフ・スペシャリスト

チャイルド・ライフ・スペシャリストとは
  浜松医科大学小児病棟チャイルド・ライフ・スペシャリスト 世古口さやか

チャイルド・ライフ・スペシャリストは、闘病や慣れない病院生活におけるこどもの精神的負担をできるかぎり軽減し、こどもの成長・発達を支援する専門職です。仕事の内容は、病棟における遊びの援助、こどもの理解力に応じた説明、治療における精神的サポート、兄弟姉妹の援助など多岐にわたります。 こどもをひとりの尊厳ある存在として捉え、こどもの心に寄り添い、こどもの目線に立つことを理念として、1950年代から北米を中心に発展してきました。 医療スタッフの一員ですが、医療行為には一切関わらないため、こどもにとっては「いやなこと、痛いことをしない安心できる存在」であり、医療者とこどもや家族との架け橋的役割を果たします。

 

チャイルド・ライフ・スペシャリストになるには
  静岡がんセンター チャイルド・ライフ・スペシャリスト 青木睦恵

 チャイルド・ライフ・スペシャリストの資格は、残念ながら、現在は日本では取れません。「国際資格」といって、アメリカやカナダ、香港で認められている資格だからです。日本では国家資格として認められていません。ですので、チャイルド・ライフ・スペシャリストになるためには、アメリカやカナダに留学しなければいけません。大学に留学してもいいのですが、だいたい大学院でチャイルド・ライフ・スペシャリストを養成しているところが多いです。
 私は日本の大学を出てアメリカの大学院のチャイルド・ライフ課程に留学しました。日本の大学では社会福祉を専攻していました。
 アメリカの大学院に留学の申し込みをする時は、日本の大学でどんな勉強をしたかも重要になります。チャイルド・ライフ過程に留学したい場合は心理学や家族発達学、児童福祉など勉強されているとより入りやすいのではと思いますが、それは大学院によって様々です。
 より詳しいことをお知りになりたい場合は「日本チャイルド・ライフ研究会」という研究会がありますので、ぜひHPをのぞいてみて下さい。

 
静岡がんセンターにおけるチャイルド・ライフ・プログラムの紹介
  静岡がんセンター チャイルド・ライフ・スペシャリスト 青木睦恵

主な活動内容:
1. プリパレイション
こどもたちが処置(採血・CV挿入)や検査(骨髄穿刺・CT・MRI)、また放射線治療、手術などの加療経験に対して心の準備ができるようにするための援助
2. ひとりひとりのこどもの、心身の発育状態に見合う遊びを提供すること
ベッドサイドにて…ビーズ・折り紙・パズルなどの制作活動、ゲーム、学習補助
プレイルームにて…集団遊び、イベント(クッキング)の企画
3. 病気のお父さん、お母さんをもつこどもへの介入
例:(闘病中のお父さん、お母さんに)絵や手紙をお子さんと一緒にかく
刺繍糸やビーズなどを使って、お子さんと一緒に、闘病中のお父さん、お母さんへブレスレットなど「簡単に身につけられるもの」を作る(お子さんが自分の分も作り、家族みんなでつけて「おそろい」にする→家族の絆の深まりに)
闘病中のお父さん、お母さんとお子さんが一緒にできるような遊びの提供(やわらかいゼリーを使った「感触遊び」、ふわふわ粘土等)

対象:チャイルド・ライフ・プログラムの対象は病気のこどもだけでなく、彼らの兄弟姉妹、ご両親、そして「病気のお父さん、お母さんをもつこども」が含まれます。

「遊び」:チャイルド・ライフ・プログラムはこどもの生活の中心である、「遊び」を通して行われます。チャイルド・ライフ・プログラムは、医療環境に置かれているこどもに、「遊びの機会」のみならず、「遊び」を通して、表面化しないこどものストレスを感じ取り、こどもの心を癒す「治療的遊び」を提供することを目指しています。
また、専門家の方々(医師、看護師、作業療法士、放射線技師、栄養士、臨床心理士、MSW、等)やボランティアの方々と協力関係を保ち、治療環境にお子さんとご家族が情緒的に順応できるように支援することを目標に、日々活動しています。

 

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