寒中見舞い。冬の風物詩、寒中の柴揚げ漁(2007年 1月21日)



 CATS-MLの皆様こんばんは。静岡の西川です。
 昨日は大寒でした。寒中お見舞い申し上げます。
 一月も、アットゆうまに3分の2が過ぎてしまいました。
それにしても今年の冬は例年にない暖冬で助かります。
 皆様は、いかがお過ごしですか。
 さて、今日は、私の住んでいる静岡市葵区北の近くの、麻機沼(あさばたぬま)では、
冬の風物詩(フーブツシ)である、伝統漁法の柴揚げ漁(シバ揚げ漁)が開かれました。
 このシバ揚げ漁は、この地方に室町時代より伝わる伝統漁法とか…。
 その昔は、近隣の農家の人々は、この漁を行なって正経の足しにしていたそうです。
 今日は、麻機沼の近くの、南沼上(みなみぬまがみ)の、シバ上げ漁保存会の皆さんが
毎年、厳寒のこの時期に、市民にその漁法を披露してくれています。
 このシバ揚げ漁は、予め晩秋から初冬にかけて、近くの山から切りだしたシバ(小さな葉っぱがついた雑木)を沼に沈めておきます。
 この沈めてあるシバの周りに越冬のために鮒や鯉が集まってくるのです。
そこえ大寒のこの時期にそっとシバの周りにコブネで近寄って、魚が逃げないように簾でシバの周りを囲んでしまうのです。
そして、シバを揚げられた鯉屋、鮒は冬眠中に叩き起こされてびっくりするのですが、
逃げ場所を無くした鯉屋、鮒は後はタモで掬われて一網打尽(いちもうだじん)となってしまうのです。
 今日も、大きな鯉屋、鮒が揚がるたびに、沼の周りから大きな歓声があがっていました。
 今日はこの伝統漁法を、ひと目見ようと大勢の人が集まりました。
 沼の周りでは、おでんや、甘酒、綿菓子などのサービスのほかに、予めドロをはかせた鮒を使って大きな鍋で炊き上げた鮒汁がふるまわれました。
 この鮒汁を、山から切りだした竹のお椀に、ネギ、大根、豆腐などと一緒に味噌汁に仕立てて出してくれたのですが。
竹のお椀の底から鮒の頭が丸ごと出てきたのはびっくりしました。
味は淡白で美味しかったのですが、とにかくホネが多く食べてはペッペ、食べてはペッペとホネを放り出す始末でしたが。
 子供からお年寄りまで、みんないいえがおで、美味しそうにこの鮒汁を食べていました。
 沼の周りでは、雑草や、葦が適当に枯れて絨毯のようにふわふわと柔らかくなっていて、
みんな思い思いにシートを広げたりして、もてなしのおでんや、鮒汁を食べな
がらこのめずらしい伝統漁法のシバ揚げ漁を楽しみました。
 それから、沼の周りでは昭和49年の七夕豪雨の大水害の時のパネルや、
巴川や、付近の沼で採れた魚や貝、昆虫。それに野鳥のパネルなども展示されて、
子供達のとても良い自然観察の勉強になったようです。
 ところで、この麻機沼はどこにあるのでしょうか。
 静岡市中心地から約10キロほど北にむかったところで、巴川のづっと上流で大きな湿原や、沼になっています。
近くには諏訪神社や、有名な沼のばあさんなどの伝説もあります。
 子供の頃は町から歩いて釣竿や、ぼったいなど持って鮒やたなごをよく取りに出かけました。
 その頃は、背丈以上もある葦をかきわけると、突然目の前がパッとひらけて大きな沼が現われました。
沼は、キラキラと水面が輝き、風に揺れた葦の音だけがザワザワとしていたのを憶えています。
 車や、飛行機の騒音もなくシーンと静まり返った沼のほとりに立つと、とても神秘的でした。
 最近では、近くにヘリポートや、流通センターも出来て、
車や、ヘリコプターの騒音や、産業廃棄物の処理などで、自然がだんだん破壊されていくようで残念です。
 今では、乾燥がすすんで沼も小さくなってしまいました。
 今日は、家から麻機沼までの往復5キロほどの、ウォーキングを楽しみましたが、
行き帰りの田んぼや巴川には白鷺もムレていて、巴川のほとりには菜の花も咲き始め
たようで小さな春を感じました。
 付き添いのガイドのかたは、以前、よく鮒汁を食べたことがあると話してくれましたが、皆さんは鮒汁を食べたことがありますか。
 1月21日 西川


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