静岡市北、季節だより  95


御嶽山と、富士山に思う。
(2014年10月 6日)


皆さんこんにちは。
 静岡の西川です。
 台風18号。
皆さんのところでは大事はなかったですか。
被害に遭われた皆さんにはお見舞い申し上げます。

 あの9月27日正午、あの痛ましい御嶽山の噴火災害から一週間余りが過ぎました。
 改めて、御嶽山の突然の噴火災害による犠牲者と、被害に遭われた皆さんに、ご冥福を祈るとともに、お見舞い申し上げます 。
 また頂上近くには、まだ複数の行方不明者がいると聞き驚きました。
 頂上付近では台風18号の影響で雨もふり続いていることでしょう。
 あの冷たく暗い山の頂から一刻も早く家族の待つ暖かな麓へとおろされることを願ってやみません。

 9月27日午前11時52分。
まさか、あの木曾の御嶽さんと親しまれてきた、穏やかで平穏な御嶽山が突然、爆発するなんてだれが思ったのでしょうか。
 それも山が1年で一番美しくなるといわれる紅葉の季節、それもよりによって土曜日の正午前、大勢の登山者が丁度山頂に着いて、お弁当を広げて頂上からの大パノラマを楽しむ時間帯でした。

 私は、17年前、有人6人と御嶽山に夏山登山に行ったことがありました。
 そのときは、前夜一泊二日の予定でテントを持って出かけましたが、早朝5合目に着く頃には天気が悪くなったのでテントをやめて、9合目の山小屋に上り自炊ということで早めに泊まることにしました。

 早めに小屋に入ったので昼過ぎからはなにもすることがないのでごろごろして過ごしました。
やがて午後になると雨もあがり、大勢の登山者が登ってきました。
 その中にあって、白装束を身にまとった行者のグループが「六根清浄」「六根清浄」と声をかけあっていくつものグループに分かれて登ってきました。
 御嶽山は信仰の山です。
 一生懸命登ってくるその姿を見て、感動したのを覚えています。
 登ってきた行者の中には雨に濡れて凍えている方も見られました。
 そんな姿を見て、私たちはお湯を沸かして紅茶を飲ませてあげました。
 暖かな紅茶を飲んで元気を取り戻した行者の皆さんはお礼を述べた後、また「六根清浄」「六根清浄」と声をかけあって頂上に向って登って行きました。

 その日、私たちは9合目の小屋に泊まり、翌朝無事に御嶽山に上りました。
 山を登り終えての下山は、夏尚残る雪渓を滑って楽しんだり、5合目付近の湿原を散策したり、麓の大滝村で温泉につかって帰路につきました。

 9月27日、あの噴火がなかったらみんな私たちと同じように、楽しい山の思い出を土産に山を下ったでしょう。
 しかし、 楽しかったはずの御嶽山登山が、一瞬のうちに悲劇と化してしまいました。
 毎日、テレビの報道ニュースを見ていてとても残念で涙が流れて停まりません。

 今回の災害で、必至に捜索、救援活動にあたる自衛隊や、警察、消防の姿をみて頭が下がりました。

 そして、40数年前の富士山での遭難を思い出しました。
 それは1972年3月19日から20日にかけての、春の彼岸の連休におきた、死者行方不明者24名を出した富士山での大漁遭難事故のことです。

 その日、大勢の登山者が御殿場登山ルートから富士山に登ったり、雪上訓練を行なっていたその夜のことでした。
 晴天に恵まれていたその日、台風並に発達した低気圧が暴風雨となって、テントに停まっていた登山者を襲ったのです。
 いわゆる「春一番」です。

 その日、私たちは八ヶ岳に行く予定で準備をしていましたが、あまりの天気の急変に出かけるのを見合わせていました。
 あまりの天気の急変に、何ごともなければいいと思っていた昼頃、富士山で大勢の登山者が遭難したので、急ぎ捜索救助隊に加わってほしいと連絡がはいったのです。

 予定を変更して急ぎ富士山に向いその日のうちに自衛隊と協力して捜索救援活動にあたりました。
 山に入るとあの3月の穏やかな富士山は、想像を絶するほどの雪崩のツメ跡で一変していました。
 捜索は霧の中、横一列に並んでゾンデという鉄の棒を雪の斜面を異変がないか刺しながら登ったり、また、遺品を捜して登りました。
 私たちは、3日間捜索に協力しました。
が結果は残念でした。
 死者18名、行方不明者6名となってしまったのです。

 亡くなった方のほとんどは、霙にうたれての低体温症による疲労凍死。
 行方不明者は雪崩にうまって閉まったのです。

 あの時、私たちも山に出かけていたらと思うと人ごとではありませんでした。
 富士山で亡くなった大勢は、親しかった人ばかりでした。
 山からおろされた姿を見て、残念で涙がとまりませんでした。

 今回の、御嶽山噴火災害を思うと、40年前の富士山での遭難を思い出してしまいました。

 私は大分目も悪くなり以前のように山に登ることができなくなりましたが、一登山愛好者として、 最近は中高年の登山ブームで、山は危険と言う方もいるかもしれませんが、山は美しいし、登山は楽しいし、これからもみんなが安全で楽しい登山を願ってやみません。

 平成26年10月6日 西川

 平成26年9月4日 西川

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