CATSのボスの遠聞近触 17 「見えないつらさ、エレベーター前での1こま」


私の外出行動で「見えないつらさ」を強く意識する場面に「置いてきぼり」があります。 先日、仕事の帰り、デパートの食堂で昼食を済ませた私は、2階に降りるためエレベーターのところに戻ることにしました。 すでに2時を回っているせいか、レストラン階を行きかう人はほとんどいないようでした。 エレベーター前に着いた私は、下に降りるためエレベーターボタンを探し、下側にある方を押しました。 ここには2基のエレベーターが設置されていますが、音声ガイドや点字表示など、視覚障害者への配慮はなにもされていません。 天井のスピーカーからは、テンポの速いBGMがやや大きめの音量で聞こえていました。 またすぐ近くではエレベーターを待つ年輩の女性の話し声や若い男性の声も少し聞こえていました。デパートなど周囲から様々な音が聞こえてくるような環境では、エレベーターのドアの開閉音が聞こえないこともよくあります。 ドアのすぐ前に立っていれば聞き落とすことはありませんが、これべは降りてくる人の邪魔にもなりますし、別のエレベーターの到着に気づかなくもなります。 そこで少しドアから離れ、両方のドア音が聞こえそうな位置でエレベーターの到着を待ちました。1分ぐらい待ったでしょうか。右側のエレベーターの方からドアの閉まる音が聞こえました。 あわててドアに近づきましたが間に合いませんでした。 ドアの向こう側でエレベーターが下がっていくかすかな音が私の耳にむなしく聞こえてきていました。 もちろんさきほど近くにいた人たちの話し声はもう聞こえてきません。 話をしながら乗り込んでくれれば私も気づくのですが、静かに進まれると足音など全く聞こえません。 こうしたいわゆる「置いてきぼり」の経験はエレベーター前では案外多いものです。 これはけっこうつらいものがあります。  ある中途視覚障害者から、社会復帰しようと外出し始めた頃、自分も同じような経験をしたことがあるが、その事がショックでその後しばらくは外出する気になれなかった」と聞かされたことがあります。 実は置いてきぼりに近い例は電車を待っている時にも起こります。 たまたま乗車する電車と同じ時間に反対側のホームにも電車が入線したり、貨物列車が通過したりすると、ドアの開く音が騒音にかき消されてしまいます。 列の前や中ほどに私がいたとしても、後ろの人は私を追い越して乗車してしまいます。 その結果、私だけがホームに残されてしまうといったことが起こるのです。 電車に乗った際、私の近くに空席があっても教えていただけないことは日常茶飯事ですが、これは電車には乗れていて自分の目的に進めているため、空席を教えていただけないことは私にとってそんなに気になることではありません。 しかし周囲に同じように電車を待っている人がいて、視覚障害の私だけがホームに「置いてきぼり」されるのはつらいものです。 ただし最近は事故防止のため車掌が必ずホームを確認しているので、幸いにも電車乗車時の置いてきぼりはまだ未経験です。  ある講座で視覚障害者に対する声掛けの貧弱さを話したところ、そこに出席していたガイドヘルパーの方から「仕事の関係で広島や石川など国内のいろいろな地域に住んだことがありますが、静岡県のひとは他県の人に比べて声を掛ける人が本当に少ないですね。他では周囲の皆さんがもっと声を掛けていますよ」と話してくれたことがあります。 確かに私も京都や大阪に出掛けるとむこうから声を掛けてくれる方が多いと以前から感じています もちろん、エレベーター前や電車乗車時でも、声を掛けてくれる方もたくさんいますので、静岡県人が他県と顕著な差があると言えるかどうかはよく分かりません。  でも現実に「置いてきぼりにさせられる」ことがあるわけなので、「白杖を見かけ たら声を掛けて」と言うことの周囲への啓発を(皆さんの耳にたこができるほど繰り返し述べてい ますが)、是非今後もよろしくお願い致します。
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