CATSのボスの遠聞近触 19 「IPS細胞は視覚障害を過去の疾患にすることができるだろうか?「



IPS細胞は視覚障害を過去の疾患にすることができるだろうか?

 視覚障害者が今、大きな関心を寄せているものの1つは、何と言っても視覚機能の喚起、回復、再生への臨床試験がまもなく開始されると言うトピックでしょう。
 皆さんの中には既にご存知の方も多いとおもいますが、医療を革命的に変えると言われるIPS細胞の研究がこのところ急速に進んでいます。
IPS細胞とは、京都大学教授の山中伸弥らのグループによって、2006年にマウスの皮膚細胞から世界で初めて作られた人工多能性幹細胞のことです。
 多能性幹細胞とは人間の皮膚などの体細胞に、ある遺伝子を導入し、培養することで様々な組織や臓器の細胞に分化する能力を持たせた細胞のことです。
今もっとも現実味を帯びつつあるのが、網膜の再生研究です。
IPS細胞から網膜、網膜色素上皮細胞を再生、移植して治療しようとする研究です。
既に動物実験では成功を収め、現在では安全性の点での検証が行われています。
 理化学研究所では来年早々、厚生労働省にIPS細胞による網膜再生の臨床実験の承認申請を行う予定です。
 そして認可が降りしだい、患者の特定や、網膜シートの作成などの準備に入り、2014年には世界初の網膜再生の臨床試験が開始されると思います。
 何年か前までは「眼が見えるようになる」などと言うことは、夢物語の話しであり、トンネルの先の針の穴ほどのわずかな期待もありませんでした。
しかし今やIPS細胞の研究により、トンネルの先に大きな光が差込んできたのです。
 網膜再生や移植医療の実現は、多くの視覚障害者に大きな希望と光を齎すことは間違いありません。
最近は「眼が見えるようになったらまず何をしたい?などと言う会話が視覚障害者の間で現実感を持った期待のなかでかわされるようになっています。
 全盲の方が晴眼者同様の視覚を回復するようになるには、まだしばらく時間がかかると思いますが、10年ほど先には消失または低下した視覚機能が再生治療によって今までよりはかなり改善されたと言う声があちこちで聴かれるのではないかと思います。
 そして近い将来、視覚障害が過去の疾患になる日が必ず来ると信じています。
 私は、いろいろな場で「皆さん長生きしましょう。そしてまた見える世界を自分のものにできる日を、心ときめかせながら待ちましょう。」「多くの偶然によって誕生したこの素晴らしい地球の自然の営みを、植物や動物の営みを、そして愛する妻や夫の顔を、娘や息子の顔、可愛い孫の姿を感動の中で満喫できる日が必ず来ることを信じて、毎日を大切に生きていきましょうと話しています。


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